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Blue Rose
第十三話 人間だからその六
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「話はあるの」
「そうなんだ」
「このことは優花のこと以上に不思議ね」
「本当にそんなことあるの?」
「だからあるの」
「伝説とかじゃなくて」
「実際にもあるみたいよ」 
 いささか不確かな感じでだ、優子は答えた。
「姉さんとしては本当に信じられないし有り得ないって思ってるけれど」
「あるんだね」
「ええ、けれどこのことは現代の医学から見てなのよ」
「有り得ないって思われてるの?」
「そういうことなの」
「現代の、なんだ」
「人間がわかっていることはほんの少しなの」
 優子は自分の持論も話した。
「この世の中のね」
「ほんの少しだから」
「そう、そうしたこともよ」
 男が子を産む、そうしたこともというのだ。
「実際に有り得るってわかるかもね」
「そうなんだね」
「医学の研究が進むと」
「現代の医学も何もかもがわかっているわけじゃないんだ」
「そうなの、わかってるって言う人もいるけれど」
 しかしというのだ。
「姉さんは違うわ」
「まだ殆どわかっていない」
「そういうものなのよ」
「そうなんだね」
「ええ、そして優花はね」
「そのことよりはなんだね」
 男が子を産む、そのことよりはというのだ。
「あるんだね」
「ええ、そうよ」
「実際にこうしたことが昔からあるんだね」
「本当に稀だけれどね」
「そうなんだね、じゃあ僕将来は」 
 女になってからのことをだ、優花はあえて言った。
「男の人の誰かを好きになって」
「そうなるかも知れないわね」
「今まで男の人を好きになったことはないよ」
「同性愛はなかったのね」
「全然ね」
 男の友人は龍馬をはじめとして多くいる、しかしその中の一人もだ。
「なかったよ」
「女の人だけなのね」
「アイドルで好きな人もいるし」
「応援もしてるのね」
「今もね、だから」
「女の人を好きになったら」
 優花は女になった時の自分のことを想定しつつ述べた。
「僕同性愛者になるのかな」
「なるわね」
「何か変な話だね」
「そうね、けれど身体が変われば」
「心も変わるんだ」
「そうなるって本でも書いてあったから」
「ううん、同じ人でも性別が変わると性格とか好みも変わるんだ」
「そうみたいよ、例えばね」
 優子はここでこうした事例も話した。
「同じ人が違う言語で考えると」
「頭の中で?」
「そう、そうしたら同じ人が考えても違う結論が出たりするのよ」
「そうなんだ」
「姉さんはお医者さんだからドイツ語を知ってるわ」
 カルテ等をドイツ語で書くのだ、このことは日本の医学の特徴の一つだ。
「それでドイツ語で考えることもあるけれど」
「その時はなんだ」
「実際に違う結論が出たりするの」
 同じことについて考えていてもとい
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