第2章:埋もれし過去の産物
閑話5「夜の一族と式姫」
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!」
相手の底が知れないため、警戒しつつも葵を呼ぶ。
もう二人の縄は解けたみたいなので、ここを突破しようとする。
「何をやっている!早くそいつを捕まえろ!」
「っ!」
そこで、入り口の方からそんな声が聞こえる。
見れば、中年ほどの男性がそこにいた。
「下がって!」
「...指示を出してるのはあいつだね...。」
指示を受けたメイド達が逃がさないように進路を妨害しだしたので、一端様子見のためにアリサとすずかを下がらせ、護るように私達が立つ。
「...安次郎...おじさん...。」
「...知り合い?」
「...親戚の人です。...確か、月村家の遺産相続で不満を持っていました....。」
遺産相続....まーた、ありがちで厄介な事ね...。
「...と、言う事はなにかしら?このメイド達を使って脅し、すずかを経由して月村家の遺産を無理矢理奪おうとか、そんな感じかしら?」
「っ...よく分かってるじゃないか。」
一切関係なさそうな私達があっさり思惑を見破ったのか、男は少し動揺する。
「お前らは知らないようだが、こいつらはただのメイドではない。自動人形...つまり、命令を忠実に実行する駒だ。」
「...どうやらそのようね。しかも、性能は人間以上と来たわ。」
さっきまでのあの動きは、全てが並の人間じゃあ、歯が立たない程だったわ。
「なんで...なんでいきなりこんな事を!?」
「凡才で容姿も悪い自分のような者は、金を頼みとしなければ幸せを掴むことが出来ないのでね。...だが、そんな苦労をしているのを余所に、のうのうと平和に生きているのを見れば、嫌がらせぐらいしてやりたくてねぇ!」
...あー、つまり、ただの嫉妬って訳ね...。見苦しいわ...。
「それで...それだけで、皆を巻き込んだんですか!?」
「そうさ!君が傍にいたから巻き込まれた!まぁ、自分の不運を呪う事だ!」
普段は大人しそうなすずかが、男に食って掛かるようにそう言う。
...すずかとしては、私達を巻き込んだのを申し訳なく思ってるのね。
「...いやぁ、むしろ幸運だと思うなぁ...。」
「...なに?」
「だってさ....あたし達がいたから、すずかちゃんは助かる訳だしね!」
だが、それを葵が否定するようにそう言う。
...まぁ、その通りね。私達がいれば、あの男の思惑通りにはならないもの。
「はははは!そうか、お前たちはすずかを庇おうと言うのか!」
「...?そうよ。何かおかしいかしら?」
男は笑う。まるで、“助ける相手が何者か分かってない”のを笑うように。
「おかし
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