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【フェアリーテイル】交わらない竜<虎は妖精へ、妖精は虎へ…想いはいつだってすれ違う>
日常編
プロローグ
[8]
前話
・
捜して捜して、交わらない。
__X790年
小鳥のさえずり声で目を覚ました。
真っ先に目に映るは、厚い胸板だった。…って可笑しい。何で朝から見なきゃいけねぇんだよ。
「…あ」
上を見上げればスティの顔が。更に後ろを見ればローの顔が。…昨夜何があったんだ。
あ、そうだ思い出した。
何かきゃっきゃっふふがあったんだったな。
…いや待てよ。可笑しいだろ。
何故か腰にどちらもか分からぬ手が巻きついている。暑苦しい。
兎に角、抜け出そうと身を捩るが脱出不可能。男と女の力の差なんて歴然。
溜め息を吐きつつ、またその温もりに溺れていった。
__X784年
「ブルー、この依頼いくぞー」
「あ!!あたしも行く!!!今月も金欠なのよ…」
「毎度の事だねー」
「まぁいいや。行こっか」
金髪の彼女の手を引いて、太陽のようにあったかいギルドを出る。
昔の所属していたギルドのようだ。
「ねぇねぇ。そーえいば何の仕事?」
「そんな事も知らないで来たのー。馬鹿だn…むぎゃ」
「なーんか言ったかしら?猫ちゃん」
額に青筋を浮かべながらブルーの髭を引っ張るルーシィに苦笑する。
そして、彼女と重なった。
『何か言ったか?ブルー』
『ふひゃあひゃ』
居たたまれない。ルーシィと彼女を重ねて見ている自分に。
じゃれあうルーシィとブルーを見ていると罪悪感が沸き起こる。
ぐいっ、とルーシィの手を無理矢理引いて走った。
「きゃ、ちょっと…!!?」
「速く行かないと船出るからね」
笑いながら彼女に言うと、
彼女はとても澄んだ笑顔を向けた。
交わらない運命は平和な時と共に進んで行く。
[8]
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