幕間 抵抗
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――
――――ルーン魔術による精神汚染は確認されず――――
(まあ、まだだろうな……)
結果を加味し、作業を続ける。
――――精神構造を解析――――
――――解析終了。続いて、汚染を受けた箇所を過去のログから算出――――
――――算出完了。行動原理の分野に多く干渉。また、庇護の感情にも汚染の記録を確認―――
(さて、洗い出しは完了した……次は、どこまで出来るか……)
―――――過去の干渉データから、ワクチンを生成――――――
――――生成完了――――――
そう、アーチャーはこのとき、彼の精神を浸食したルーンの干渉から、自身を守るための対策を講じていた。
(対策、と呼べるのかどうか微妙だな……どれ、実験してみるか)
試しに、破戒すべき全ての符で彼女の刻んだルーンを消せないかという今朝の案を脳内で思考してみる。
すると、
――――ルーンからの精神汚染を感知――――
(やはり来たか……!)
即座にワクチンを流し込み、干渉を断とうとする。
――――ワクチンを適用―――――
――――精神汚染の遅延を確認。停止まであと五秒――――
(行けるか……?)
ファイブカウントにかすかな期待を乗せ、作業を続行する。
――――四―――――
――――三―――――
――――二―――――
―――ルーンの精神汚染が再開されました―――――
(ダメか!)
ズキリ、とさっきまでの報復だ、とばかりに激しい痛みがアーチャーの脳を襲う。
実験は失敗。即座に思考を停止。精神の修復に専念する。
幾分経っただろうか。それは完全に収まった頃に、アーチャーは一息ついた。
(これは、一筋縄ではいかないな……随分と立派な首輪をつけられたものだな、私は)
座禅を解き、四隅のガラス板を爪先で割った。パキリ、という破砕音は鳴るが、破片は床に散ることなく、まるでそこには何もなかったかのように四散する。
はあ、と息を吐き出し、窓からこちらを柔く照らす二つの月を見やる。
「まあ、今はダメでも今後がダメと決まったわけではないか」
現実主義者の彼にしては、希望観測的な言葉が口から漏れた。
だが実際、アーチャーはこの世界での事を学院の生徒用に解放された図書館の蔵書でしか知らない。だから、今後このルーンをどうにか出来るかもしれないという希望は一応は維持される。
それまでは、恩恵をありがたく頂戴しな
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