第四話 誘惑と驚愕 その六
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々に由々しき事態であると、ルイズは認識していた。
原因は、言わずもながら、アーチャーのあの発言である。
『だから、力を、過信するな。凝り固まるな。力に手段を囚われ、自分の目的とその原動力を、見失うな。それは、自分を狭め、後に自分の首を絞める』
現代魔法に対する、アンチテーゼ。
魔法は絶対ではない、というあの発言。
まあ、アーチャーが本当に言いたかったのは、目的と手段を取り違えるな。というものだったのだが、ルイズがそれを理解するには、些か成熟が足りていなかった。
「何なのよ、もう……」
心中に渦巻く、よくわからない靄を吐くように、言葉をこぼした。
何が何なのか、分かっていないが、それが何か重要なもののであることは解ったルイズは、また、
「本当に、何なのよ……!」
言葉をこぼす。
そんな時だ。
「料理長マルトーが覚醒したぞー?」
誰かが、そんな事を叫んでいた。
あまりに場違いで唐突な叫びに、ルイズは思考の世界から引き戻される。
「何かしら……?」
その叫びの発生源へ目を向ければ、そこはアルヴィーズ食堂への入口であった。
悶々としていたせいか、朝から何も食べていないことに気が付いたルイズ。
そして、現金なものでそれに意識が向いた瞬間、
―――キュル、キュルルル……。
「……?」
ルイズの小さなお腹から、まるで鳥の雛が親鳥に餌をねだるかのような音がなった。
なったお腹を瞬時に両手で押さえ、
(だ、誰かに聞かれてないわよね!?)
周りを確認するが、ルイズの方を向いている貴族など、誰もいない。
その代り、皆食堂の方へ向いたまま、目をつむり、すんすんと鼻を鳴らしていた。
はしたない、と切り捨てるのは簡単だったが、普段かぎ慣れている匂いに、なぜそこまで反応しているのかと、ルイズは疑問に思い、恥じらいながらも、自身も小さく鼻を鳴らす。
すると、
ブワアアァァアア!
そんな擬音がつきそうな強烈で、鮮烈な食の香りが身を刺した。
そして、その匂いにつられ、食堂へ入る。
慣れた足取りで自分の席に向かい、たどり着いたところで着席する。
そこには、見慣れた昼食の姿。だが、それは見慣れていながらも、どこか異彩を放っており、いそいそとナプキンを広げ、席に着く。
見れば、周りも同じように席に着き、始祖ブリミルと女王陛下へのお祈りを待っていた。
「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今昼もささやかな糧を与えたもうたことを感謝します」
皆が手をあわせ、祈りを捧げ、料理を口にする。
すると、
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