美食屋、旧知の人間と再会する。
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ちなみに、なぜ小声で話しているかというと、俺たちの会話を他の奴らに聞かれたくないからだ。
伝説の美食屋の次郎さんはもちろんのこと。いまや俺も、自分で言うのもなんだが、かなりの有名人になってしまっているからな。
正体がばれて、あまり騒がれたくない。
さて、ここで皆にもこいつのことを紹介しようか。
こいつの名前は『トール』。
俺がまだ十代の修業時代の時にIGOから依頼された仕事で知りあった美食屋だ。
最初はネルグ街出身の俺に嫌悪の感情を示していたが、仕事で俺が何度か助けているうちに仲良くなり仕事が終わった後でも連絡を取り合い、何度か飲みに行ったりもしている間柄だ。最近は忙しかったのか、連絡なかったけど、まさかこんなところで会うとなあ…。
「そういえばお前最近どうしたんだ?連絡なかったけど…」
俺がそう言うと、トールは申し訳なさそうに頭を掻いた。
「いやあ、申し訳ない。最近は昇格試験で忙しくて…」
「昇格試験とな?」
「ええ。アキトさんには言いましたよね?私がグルメ警察ポリスに入ったって」
そういや、何年前か一緒に飲んだときにそんな話を聞いた記憶があんな…。
「それから私、特別グルメ機動隊に入隊しまして。試験っていうのは、それの隊長への昇格試験のことです。勉強のすえ、なんとかうかることができました」
「へぇー!すげぇじゃねえか!」
グルメ機動隊っていやぁ、IGO法務局長『グラス』の子飼いの部下たちで、グルメ警察の中でも実力が認められた者しかなれないエリート部隊だったはず。それの隊長に抜擢されるなんて凄いことだ。
俺がそう言うと、トールは顔を赤くして頭を掻く。どうやら照れているらしい。
「いやぁ、俺なんかまだまだ。そう言えばお二人の今日の目的は…やっぱりフグ鯨で?」
「ふぉふぉふぉ。まあの」
「というかこの列車に乗ってる時点で目的なんかそれしかないわな」
俺たちの言葉を聞いたトールは、一端周りを見渡して、誰も見てないことを確認すると、声のボリュームを落とした。
「これは極秘情報なのですが、最近謎の存在により、希少なグルメ食材が奪われるという事件が多発しています。IGOの各ビオトープからも。第4ビオトープがらは「陸ウツボ」に「バーガー貝」。第5ビオトープからは「紅サソリ」。そして第8ビオトープからは養殖に成功した「虹の実」が一つ残らず奪われたようです」
「おいおい。IGOの警備はなにやっんだよ…」
「それを破るほどの強者だということです」
そう言ってトールは懐から一枚の写真を取り出す。
そこにいたのは体は人型だが、嘴のようなものがある鳥のような顔をしている。
あの『ニトロ』とそっくりなこい
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