とある隊の日常風景
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。まんざらでもないのですねぇ?」
火玉でもぶつけられたように顔が赤くなり体温が上がったのが、自分でも分かった。他三人も、当然僕の顔が真っ赤であることは見れば分かるので全員口角を吊り上げた。
僕がここまでトレイターさんを尊敬するようになったのは、いくつか理由がある。
一つは、僕が軍に入隊するきっかけであること。これは話せば長いので割愛する。
一つは、物語に出てきそうな程の容姿端麗であること。これは説明するより本人を見たほうが早い。
そして一つは、
「プリンタルト三つでここまで盛り上がるとは思わなかったな……。」
僕以外の全員がばっとコテージの方へ歓喜の視線を向ける。すでに双子は、飛びつく寸前のモーションに入っていた。
「「かっかー!!!」」
「うわぁっ!?」
トレイターさんは案外、少なくともほぼ最前線で戦っている僕やアルマより、簡単に言えば脆い。成長期の少年少女を受け止めるだけの軸はなかったようで、二人分の重さに負けて後ろに倒れた。同時に、いつも片手に携えている古びた本も落とした。
「だいじょぶ……?」「ごめーん……。」
「だ、大丈夫……ちょっと腰打っただけ……。」
ちょっと、とは言いつつもかなり痛そうに腰をかばいながらよろよろと立ち上がる。その不安定さを見ていられず、僕はフォークを手放して駆け寄った。
「掴まってください。医務室行きます?」
「そ、それは遠慮しとくよ。さすがにこれはかっこ悪い……。」
「トレイターはこのくらい自分で治せるはずなのです。そこまでお節介する必要はないのですよ。」
「……エフィなんか怒ってる?」
「怒ってないのですっ!!!」
「「せいばいだー!」」
「お前らしばらく黙ってろ!!あーもう!!!」
本を拾い上げ、さっきまで自分が座っていた椅子にトレイターさんを座らせる。残り少なかったタルトを一口で食べ切り、皿を下げに一度離れた。
「ありがとう。おいしかった?」
「は、はい!とても!」
「ならよかった……。今度からはストラトの分も作るよ。何かリクエストがあれば、遠慮なく言って?」
「とっ……とんでもない!!僕は、いや自分はそんな、トレイターさんに手間をかけさせるようなことは……!」
歯切れ悪くそう言うと、トレイターさんは優しく微笑んだ。
「俺が戦場に立つことは、きっともうしばらくはない。その代わりとばかりに君達に戦ってもらってるようなものなんだから……。」
「自分やアルマとラーマは志願兵です!僕達が望んで戦っているのであり……!」
「……案外、ストラトは引っ込み思案なのかな?」
トレイターさんはくすくす笑うとすっと立ち上がり、本を携えて背を向けた。
「君はもう少し、貪欲になった方がいい。求めすぎるくらいがきっとちょうどいいんだよ。」
そ
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