第38話 尾行
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ばれる男と会話している。
ゼツは白衣を着て、大きく出っ張った頭部を左右にブレさせながら女性に近づいた。
御坂は、出口付近で身を隠しながら一部始終を見ていた。
な、何なのあれ?
あれも能力なの?
息を殺しながら、見続けるべきか逃げるべきかを迷っていると
「......ソコニ居ルノハ誰ダ?」
黒い半身が御坂が居る出口付近を睨み付けた。
「!?」
ヤバッ!
御坂が慌て、走り出そうとするとゼツは、印を結んで樹木を発生させると御坂の身体に巻きつかせた。
「くっ!?」
巻きつかせた樹木をゆっくりと部屋の中に入れると、縛られ吊るされた御坂を見上げる。
ギョロ目の女性は、更に目を開いた。
「あなたオリジナルね」
オリジナル?
御坂には意味が分からずに同じ言葉を繰り返した。
「貴方も噂くらい聞いた事があるでしょう?」
「噂って......はっ!」
御坂はここ数日、耳に入った噂話を思い出した。
レールガンのDNAを使ったクローンが製造されているらしい
軍事兵器として開発されているんだって
他愛もない噂話として処理していたが、この二人は何かを知っている。
御坂の脳裏に嫌な心当たりが流れ出す。
縛られていながら、鬼気迫る表情で強い口調で訊いた。
「アンタあの噂の事を知ってるの!?」
電撃を流して樹木を焼き切ると、床に落下した。
「どうする処分しちゃう?」
「バックアップを残しておかないといけないわ」
ギョロ目の女性が束になった書類に火をつけ出した。
端から徐々に燃え広がり、書類の束が唯の灰に姿を変えていく。
「此ノ女ハ、マダ使エル」
黄色く冷酷な瞳で御坂を見下ろした。
「うっ......」
身体が硬直したまま、動かなくなった。
まるで金縛りにでもあったかのように。
一仕事終えたギョロ目の女性は、落とされた白衣を拾って着だした。
「知った所で貴方にはどうすることもできないわ」
先ほど、御坂の質問への回答を述べた。
そのまま、ゼツを連れて硬直したままの御坂の側を通り過ぎて出口へと歩みを進める。
白い半身がボソッと御坂に向けて呟いた。
「まあ、知りたいなら......心当たりでも当たってみればいいんじゃないかな......」
タラッと冷や汗を流す。
ニタリと笑みを浮かべながら、ゼツは通り過ぎていった。
「!!?はあはあ」
金縛りが解けたかのように身体の硬直が無くなり、御坂は前のめりに倒れ込んだ。
な、何?
あのギョロ目の女よりも傍らにいた妙な格好をした男
あの男だけは油断ならないと、直感で理解した。
「何なのよ......意味不明過ぎるわ」
オリジナル
クローン
あたしのコピーが存在するって言うの!?
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