第38話 尾行
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おっ。なっ、何だ!?」
「顔色が悪いわね大丈夫かしら」
「ほっとけ!」
「息も荒いし、冷や汗も凄いわ」
女性は、背伸びをして男性の耳元へ顔を近づけて何かを呟いた。
家探しを続ける不良グループのメンバー。
引き出しや戸棚をひっくり返してはみるが、出てくるのはクシャクシャになった紙や埃位で、金目になりそうなものすらない。
「あったか?ねーなぁ」
そのときに
「ぎにゃああああああああああ!」
この世の物とは思えない程のおぞましい叫び声が聴こえて反射的に振り返った。
眼球をパックリ開いた状態でバンダナの男は、ダラリと机に寄り掛かるように卒倒していた。
顔は恐怖や絶望に塗りたくられている。
「な......っ!?テメェ......」
「『角度追跡(ティンダロス)』私の能力は、角度のある所から自由に不定形の化け物を出現させることができるわ。貴方達が部屋を荒らしてくれたお陰でたくさんの角度ができたわ」
女性が説明をすると、バチンと電気が消されて辺りが真っ暗になった。
「なっ!?」
視覚が完全に零になってしまった不良グループは、手を前に出して探るように彷徨い歩く。
すると、目の前に黄色く光る双眸が出現し、ギザギザの光る歯をギラつかせる。
「ひ、ひぃ!!」
出現した怪物はヨダレを垂らしながら口を大きく開ける。
無機質な声を発しながら、ヒゲの男の両肩を掴んだ。
「イタダキマス」
眼前に迫る牙に男性は恐怖し、断末魔を上げた。がっくりと崩れ落ちて気絶した。
「ダメよ食べちゃ。掃除が大変になるわ」
女性は、謎の生命体に注意した。
「そうだね。割と美食だからね」
先ほどの声とは違い、子供のような声が聞こえる。
この暗闇に不明の第三者が存在している。
「に、逃げるぞ!ヤバすぎる!」
恐怖に縛られていない他のメンバーが慣れだした目で我先に出口へと向かうが......
「逃スカ」
光る双眸が出口付近に出現し、メンバーを見下ろす。
「さあ、もっと悲鳴を聴かせてよ」
謎の存在は、腕を伸ばして他のメンバーの首を掴んで持ち上げた。
「がああ......あ......あ」
凄まじい力で締め付けられて、ボトボトと力を無く落下していった。
「はは、弱い弱い」
「......」
あっけらかんと男の声がする。
女性は切られた電気のスイッチを入れた。
その場に居るのは倒れた不良達とギョロ目の女性。
そして、ハエトリ草のように開いた間から半身が真っ黒、もう半身が真っ白をした男が立っていた。
「ご苦労だったわ。ゼツ」
「ツケラレタノハ、オマエノミスダ」
「お安い御用だよ。もう少し笑顔を見せればモテるんじゃないかな」
「興味ないわね」
「あらら」
ギョロ目の女性は慣れた感じで黒白はっきりした『ゼツ』と呼
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