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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第38話 尾行
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「おっと、防犯ベルでも出されたら面倒だからな。こっちで調べさせてもらおうか」
鞄を開けて中身を確認して見るが出てきたのはバラまいて来た後なのか、二枚分の封筒しか入っていなかった。
「何だ?二枚しか入ってねーじゃんか」
「制服にも入ってねぇぞ」
白衣を脱がせてポケットを確認して見るが、封筒どころか何かが入っている気配すらない。
「わざわざ来て、これだけじゃ話になんねーよ。他は?」
「ここには無いわ equal 手持ちはそれだけよ」
女性は、まるで壊れた人形のような無機質な声で英単語混じりの日本語を話した。
「この状況で随分落ち着いてるじゃねーか。あ?」
不自然なまでに淡々と大人しくしている女性に違和感を持ったパーカーの男が探るように言った。
「まさか、能力者か?」
「え?」
この都市で強いのは、腕力ではなく能力を持っている人間だ。
バンダナを頭に巻いた男が『能力者』という言葉に反応し、身体を硬直させる。
見かけによらない恐怖が募る。

「フン、この人数相手にできるヤツなんざ、そういねぇよ。乱暴されないと分かって強気になっているだけだ。どこかに隠してるかもしれねぇ、探すぞ」
「オマエはその女見張ってろ」
「オ......オウ」
「何ビビッてんだよ」
「ビ......ビビッてねーよ!!」

クソッ
何かしらねぇが、この女
不気味な......ん?

女性は変わらずの能面顔で見張り役のバンダナの男を身じろぎをせずに見続けていた。
人間という生き物は、顔のパーツを非常に重要視するという性質があった。
それは、相手と意思疎通が図れるかどうかの指標となる。
喜びや笑顔を見れば、安心し話しも弾む。
悲しみや涙を見れば、不安になり話しを聞こうとする。
そうやって互いにコミュニケーションをしながら生活をしてきた。

しかし、先ほどから女性は表情を変えずにギョロっとした目で黙っている。
不安や恐怖がなく、完全なる無の顔。
意思疎通が断絶している状態で全く次の行動が読めない為、未知への怖れが内部から増大していく。

女性が付けている校章を見る。
三つのバラバラの図形が互いに支え合っているようなマークだ。

さっきは白衣に隠れて見えなかったが
あの校章どっかで見たな
!?
長点上機学園ッ!!

学園都市の中でも五本の指に入る名門校であり、 能力開発においてナンバーワンを誇る超エリート校。
同じ名門でも「礼儀作法等を含めた総合的な教育」を目指す常盤台中学とは違い、 徹底した能力至上主義が敷かれている。
能力者以外でも一芸に秀でていれば、入学できるので低能力者にも門戸が開かれた珍しい学校である。

バンダナの男が気が付かない瞬間に女性は目の前まで近づきジロリと男性を見上げた
「う
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