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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
外伝 漆黒の修羅(終)
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に、足手まといを切り捨てただけだろうが。てめぇが生き残るためによッ!』
『そこまでだ、アイツの気持ちも察してやるのだ。そういうところで男の度量というものが図られるのだぞ。』
『大隊長こいつはそんな真っ当な感性なんて持っちゃあいない!!』
発花中佐の制止すら聞かずなお噛みつく、ああ、まったくもって五月蠅い男だ。
だが、今はこんな部外者にかかずらっている暇はない――――
血まみれた漆黒の体躯、その様相は衛士も機体も同じであるというのはなんと皮肉な事だろうか。
其の、二組の瞳に同時に光が宿る。
「―――システム・オールグリーン……往くぞ。」
瑞鶴の人工の心臓であるオイルポンプやジェットエンジンの駆動音を重く響かせながら瑞鶴の黒鉄の巨躯が大地を踏みしめゆっくり立ち上がる。
「さようなら……おやすみ、ゆい。」
別離の言葉を呟き、黒鉄の瑞鶴が墓標と化した漆黒の瑞鶴に背を向け、その場を後にした。
―――約10分後の出来事であった、S-11による強烈な爆発がトンネルを吹き飛ばし崩落させたのは。
「―――−」
陣地に戻り機体を降りた己はただ一人、空のコンテナに腰かけて作業の喧騒を意識から外しただ地面を眺めていた。
その理由はゆいを失ったことに加え、発花大隊長に本土への帰国を命じられたことにある。
何だろう、この無力感は空虚感は……ひどい既知感を覚える。
「君も生き残っていたか……良かったよ。」
「甲斐……」
降りかかる声に顔を上げる。見慣れた白の強化装備を纏う戦友の姿があった。
「彼女の事は……残念、だったな。」
「ふふふ……ククク……残念、そうか残念か。」
「柾……?」
大切なものを失い、その無力感に心身に多大な傷を負ったのか、乾いた笑いを零す。無様、なんと無様……こんな様だから、大隊長に暇を出されるのだ。
「アイツは、最期笑っていたよ。本当に幸福そうにな―――――俺に撃たれて死んだ。俺が殺したんだ!!」
「………」
痛ましい物を見るかのように甲斐が目を細めた。
生きていれば、生きてさえいれば―――いくらでも可能性が、未来があったのに!!あんなちっぽけな、物語にありそうな陳腐な幸福に満足して死んでしまった!!
あれほど俺の終わりを邪魔した奴が先に……
奴
(
ゆい
)
が、満足して死んだことが何より許せない!!
そして、それを許してしまった自分自身がさらに許せない!!!
「俺には足らなかったんだ、強さへの渇望が、弱さへの絶望が。そうだ、足りるはずが無いんだ!!
守りたいモノの無かった俺如きが!!負けられない戦いをしていなかった俺が!!!本当の強さなんて手に入れられる訳なかったんだ!!!!」
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