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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
外伝 漆黒の修羅(終)
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へのS-11設置作業は?」
『はっ、完了しております。工作部隊の収納も完了―――離脱はいつでも可能です。』
兵員輸送用のコンテナを兵装担架マウントに装着した二基のF-4。ハイヴでの物資輸送用に改修されたF-4の改修機、CF-4だ。
戦術機の機動性を最大限活かし工兵と工具を迅速に輸送しバックアップを構築するために用いられるそれを今回は帝国軍から借り受け運用していたのだ。
『いつでも動けるように準備しておけ、機はおそらく一瞬だ。』
『はっ!!』
部下の返事、早く戻ってこいと黄泉へと続いていそうな穴へと突入した部下を思う。
あの漆黒の軍服を纏う青年、彼のような人間が今この時代にあるのは恐らくは時代が望んだからだ。
――――如何な時代であろうと、その時代の法に馴染めぬ化外は存在する。
しかし、今の偽りに過ぎない太平の世に馴染めなかった者たちこそが、この様な地獄を終わらせることが出来るのだ。
少なくとも、自分はそう確信している。
だが、斯様な化外が法の側で戦うには、そちら側との繋がりが必要なのだ。
常時、抜き身の刀身がさっさと朽ち果てるように、鞘のない化外は何も成せず、何も生まず野に朽ち果てるだけだろう。
『た、隊長・・・・・・・!!』
『―――――!』
とぎれとぎれ、疎らな周期で更新される戦域データリンクマップの表記に変化が起きていた。
後方の国連軍は完全に瓦解し、挟み撃ちとなっていた中韓連合を襲撃していたBETAの大群―――それが移動を開始したのだ。
このままでは、完全に退路が断たれてしまう。
『―――くっ、ここが分水嶺か。』
歯噛みする山吹の強化装備を纏う男。これ以上ここに固執していては全滅は免れ得ない。
―――決断、を下さねばならない。
『S-11のタイマーを作動させる。第二中隊と合流後、この場を急速離脱する。』
『待ってください大隊長!未だ中にはあいつ等が!!』
部下の懇願にも似た叫び、仲間を見捨てて逃げることを割り切れないのだ。
『―――恐らく、もう生きてはいまい。』
冷徹に、判断を下す。
『大隊長!!』
『よせ!大隊長の気持ちも考えろッ!!』
なおも言いすがる白の瑞鶴の衛士、それを僚機の衛士が止める。
あまり、よくない傾向だ。―――このような意思の齟齬はパフォーマンスを落とすだけではなく、勝手な行動を誘発させ部隊全体を危機に陥れる危険がある。
『武術とは熱い感情と、冷たい理性を融合・精錬させることと教えた筈だ。―――この屈辱、晴らす機会は必ず来る。故に今は飲み込むのだ……!』
『大隊長……しかし、私は』
尚も割り切れぬ部下、彼女はまだ若い。その割り切れなさは寧ろ好ましくさえある。
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