第十四話。狽フ妹
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「武偵憲章第十条。諦めるな。武偵は決して、諦めるな……俺はもう武偵じゃないけど、諦めることはしない。
俺が諦めるのを諦めてほしいな?」
……。
お互い無言で睨み合う。
かなめの姿は見えないが、おそらく睨んでるだろう。
確証はない。ただの兄の勘だ。
『やっぱりお兄ちゃんは非合理的だねぇ。解った。それなら力尽くでも戦わせないから』
かなめがそう言うと、前後左右の押入れのフスマが開き、強烈な引力が発生した。それはまるで俺を囲むようにして、フスマの中に引きずるように、風が、引力が、引きずり込む力が発生している。
「うおっ?? なんだ、この力は……」
『『無限隙間空間』!』
『私の最初のロア、隙間女の能力。どんな小さな隙間だろうと、そこに隙間があるのなら私は入り込めるんだよ? どんなに小さな隙間だろうが、小さな、小さな粒だろうが、『分子』だろうが、例えそれが『素粒子』でもそこに僅かでも『隙間』があれば干渉することだって出来るんだから。
だけど私の真の能力はただたんに隙間に入るだけじゃない。隙間から相手を攫って、隠したり、閉じ込めたり出来る。
そういった逸話を持つことで私は気に入った相手を隙間に閉じ込めることが出来るんだよ、お兄ちゃん』
な、なんだよ! そのトンデモ能力??
まずいな。ただでさえ、一人でアリア達を纏めて倒せるくらいの戦闘力を持ってるのに、ロアの能力を手にしたかなめを倒すのは至難の技だぞ?
しかも、今の俺は通常のヒステリアモード。
『女を守る』という特性上、かなめと戦いたくはない。
『本気にはなれない』……だが、かなめは本気でくるだろう。
バスカービルの女子を圧倒する実力を発揮されたら、本当に閉じ込められるかもしれん。
さらに悪い事に今の俺には戦う時間すらない。
一刻も早く、音央を探しにいかなければならんのだ。
どうする? どうしたらいい?
「ま、待て。話し合おう。話せば解る」
『何を話し合うの? どんなに話し合っても答えは変わらない。一つしかないよ? お兄ちゃんはもう戦わない。私とずっと一緒にいる。結婚してくれる。そう言ってくれるの?』
「……最後の方の言葉はよく聞こえなかったが、それは話し合いじゃない。話し合いは『話し』『合う』ってことだ。人と人とが意見をぶつけてお互いに納得するまで論議する場であって、かなめのそれはただ自分に都合の良い提案を押し付けてるのと変わらない。
それじゃ、人は納得しないよ?」
『いいもん。力づくで納得させればいいんだもん。『弱者は強者に従う』……それがアメリカのルールだもん』
「ここは日本だ。『個の強さ』より『周りとの和』を重んじる文化の国だからな。
だからか
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