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101番目の舶ィ語
第十四話。狽フ妹
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ちゃんでも絶対に勝てない(・・・・)相手だから』

「勝てない? 戦ってすらいないのに……解るのか?」

『アレは戦って勝てるものじゃないんだよ』

『例えその破滅に勝てても、本当の勝利にはならないよ。特にお兄ちゃんみたいな優しい人は。
お兄ちゃんは、もしその破滅を持つのが可愛い女の子だとしたら全力で助けようとするでしょう?』

「……否定できないな、女の子を守るのが男の役目だからね」

『……否定してほしいんだけど。非合理的だからなぁ、お兄ちゃんは』

呆れたかなめの声が聞こえる。
姿は見えないが、声色から呆れられているのが解る。

『破滅を持つロアを倒しても、そのロアは消えるだけだよ。決して仲間にはならない。
ううん、お兄ちゃんなら出来るかもしれないけど、絶対仲間にしちゃダメだからね。周りを巻き込んで破滅をもたらすから』

『物語を終わらす物語。それが破滅の属性なんだよ』

「なるほどね。理亜みたいに物語を消す物語がいるんだ。存在自体を終わらす物語がいてもおかしくはない、か……」

理亜と違うのは、自身で制御できない点と、世界をも巻き込んでしまう点か。
理亜の場合、ロアだけを消して、ハーフロアを人間に戻すことが出来るが、破滅を持つ物語の場合、終わりに向けて物語を進めていかなければならないから、融通が効かないんだな。

「その属性をかなめも持っているのか?」

『うん。私が持つ『破滅の悪戯妖精(グレムリン)』はその物語の通り、機械を狂わせて人を惑わし、最後は破滅をもたらす。それがどんだけ優れた機械でも、先端技術の塊でも狂わせる。そういった物語だから』

『もし、私が飛行機に乗ったら多分十中八九、墜落させるよ?
今は自我があるけど、この能力を使う度に私は私じゃない感覚を感じるから』

「だったら使わなければいい」

『それじゃ、駄目だよ。私はかなめの一部だから、物語の通りにしなければ私は消える。私が消えたらかなめも消える。すでに一心同体なんだよ、私達は』

「だったら、俺が変えてやる!
俺の能力なら上書き出来るはずだ」

(エネイブル)』の能力なら改変出来るはずだ。
まったく違う物語にしてしまえばいい。

『……ありがとう、お兄ちゃん。
でも、今はまだ大丈夫だから。お兄ちゃんは心配しないで。もう何もしないで。戦わないで』

「そうしたいのはやまやまなんだけど……パートナーと約束しているからね。君を最強の物語にしてみせると」

『……そう。どうしても戦うのを止めないんだね?』

「ああ、俺は戦う」

『じゃあ、私を倒してみせてよ。
お兄ちゃんが私を倒せたら、今日は退いてあげる』

「大切な妹に手は出せないな……」

『じゃあ、諦めて!』
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