第十四話。狽フ妹
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背後から抱きつかれて、広がる甘い匂い。
ああ、このニオイ。なんだか懐かしいな。
それに、背中越しに伝わってくる弾力のある柔らかいモノ。
知らなかった。かなめの奴、こんなに成長していたのか……ああ、ダメだ。なる。なっちまう。ああ……なっちまった。
______『ヒステリアモード』に!
ヒスった俺は彼女が好んで食べるキャラメルの匂いを嗅ぎながら思案する。
何故、かなめがいるんだ?
いや、いるのは問題じゃない。
今はかなめも一文字家で暮らしているからな。いるのは当たり前だ。
問題なのは何故かなめは……俺が出掛けるタイミングで抱きついてきたんだ?
ただの偶然か? それとも……。
「か、かなめ?? そろそろ離れろ!」
「えー、何で? 可愛い妹とのスキンシップだよ、お兄ちゃん?」
「普通の兄妹はこんなことしない!」
「えっ?? もしかして、キスの方がいいの??」
「なんでそうなる??」
「だって、兄妹だもん。キスするのは当たり前だよ?」
そりゃあ、アメリカ的な考え方だろう? ここは日本だ! ついでに言うが、兄妹同士でキスはしない。いかん、かなめの発言を聞いたせいで、キスしてる武藤兄妹の姿を思い浮かべてしまった。
「……吐き気がしてきた」
「大丈夫? 妹看病しようか?」
誰のせいだ。誰の。
クソ、かなめのせいで嫌な想像してしまった。慰謝料寄越せ。
「『普通の兄妹』はそんなことしないよ」
「えー、非合理的ぃ。もっと合理的に考えないと、人生損するよお兄ちゃん!」
「そんなんで得をするくらいなら、お前の兄なんか辞めてやる」
「えっ? 結婚してくれるってこと?」
「ポジティブだな、おいっ??」
『人工天才』のはずなのに、なんでこんな残念な頭してるんだ、うちの妹は……。
「んー、じゃあ仕方ないなー、頭ナデナデして、お兄ちゃん!」
何が仕方ない、だ。そんな甘え声出しても、そんなことしてやらんぞ。
そんなナデナデなんて……。
「こうか?」
「あっ、うん、気持ちいいよ、お兄ちゃん……」
頭ナデナデしてやってるが。これはあれだ。
ペットを躾ける時に、おとなしくさせる為にやったり、いいことをした時にご褒美で撫でるアレと同じだ。
決して甘やかしてるわけじゃない。
「えへへ、やっぱお兄ちゃんは優しいねー。頭撫でるのも上手だし」
「そうかな?」
「うん、こんなに気持ちいい撫で方はお兄ちゃんしかできないよ」
大袈裟だな。ただ頭撫でただけでコレとは。
「そんなんで褒められても嬉しくない」
「あはは、お兄ちゃん照れてるー」
照れてねぇ!
まったく、たまには兄らしく
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