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逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 17
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を護る。それだけの為にできる事をしよう。
 条件は「海賊達にシャムロックの正体を口外させない」「ハウィスと村の人達の安全を確保する」。この二つだけ。
 この二つだけを死守できれば良いんだと、ミートリッテは目蓋を閉じてハウィスから離れた。
 「……うん。ありがとう、ハウィスお母様。デレデレに甘えちゃうから覚悟してね? ハウィスお母様」
 「く……っ。わざと二回も言ったわね? 精神攻撃のつもりなのかしら、この娘は!」
 「あはは! そんなに気にするなら、いっそ本当に娘を授かったらどう?」
 「嫌よ! 私には、手の掛かる可愛い娘が一人居れば十分です!」
 両腕を組んで鼻息荒く宣言するハウィス。
 七年前、初めて会った時の願いを……少し形は違っていても、子供に戻りたいと叫んだミートリッテの願いを、彼女は惜しみない愛情で叶えてくれた。共に過ごした歳月で積み重ねてきた言葉一つ、行動一つに、ミートリッテがどれだけ救われていたか。彼女はきっと知らない。
 「……ありがとう。じゃ、貴女の愛娘は部屋の様子が気になるので、急ぎ二階へ見に行きたいのですが。よろしいかしら?」
 物差しをバッグにしまって玄関まで戻り、扉を閉めて振り返る。
 「構わなくてよ? ただし、不備があっても苦情は受け付けません」
 「朝食の失敗みたいな?」
 「朝食の失敗に対するお説教みたいな。」
 「……では、大海の心を持って挑むとしましょう」
 階段の手摺に右手を預けてハウィスと睨み合い……互いにクスクス笑って、離れた。



 明かりを差した室内には、今朝と比べても大きな変化は無い。カーテンやシーツ等の布類が洗われ、部屋の隅々まで綺麗になっているだけだ。
 元々家具が少ない上に見られて困る物は全部持ち歩いていたから、当然と言えば当然だった。
 しかし、一つだけ重要な物が欠けている。
 「……洗ったのかな?」
 クローゼットを覗いても、ベッドの周辺を探しても、見当たらない。
 簡素な部屋を彩る唯一の華、くらげタン人形のくータンだけが、室内の何処にも無い。
 「ハウィス、くータンは出張中?」
 「……くータン?」
 バッグをベッドの横に残して、再び一階に居るハウィスを訪ねてみる。
 彼女は調理台の拭き掃除中らしく、台の上に布を滑らせながら首を傾げた。
 「くらげタン人形のくータン。洗ってるんじゃ……ないの?」
 訝るミートリッテに、ハウィスは目を細めて顔を逸らす。
 「……ええ、そう。今乾かしてる所なの。寂しいと思うけど、今夜は我慢してね」
 「いや、無いと眠れないとかじゃないから。あるなら良いの。うん」
 (指輪が奪われた所為で過敏になってるのかな……くータンまで盗られたのかと焦っちゃった。さすがにそれは無いか)
 くータンはミートリッテが
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