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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
二人は出会い、そして◆蘇生
第十八話 思い出の……
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。あれが一番つらかった。何度も葵のせいじゃない、って言ったのにううん、私のせいだって言って謝り続けるんだ。顔を合わせる度にそう言われるのが辛くて、妹が来た時に寝てるふりしたこともあった。……それ以来かな、なんか疎遠になっちゃったのって……。」

マルバは足元に視線を彷徨わせてから、言葉を探すように続ける。
「……あの事故は妹のせいじゃなかった。でもきっと彼女は未だに自分のせいだと思っている。だから怖いんだ。僕がSAOに閉じ込められちゃったのも自分のせいだって思わないかなって思って。」
「……なんで、ですか?SAOはその事故とは……」
「もちろん無関係さ。でも僕は事故以来うまく動かせない右半身に疲れてナーヴギアをかぶったんだ。仮想空間でおもいっきり走るのは楽しかったよ。でもまさか、それがこんな大事件に巻き込まれることにつながるなんて思っても見なかったけどね。」

はあ、と再びため息をつくと、マルバは空を見上げた。青い空はすぐに次の層の下部に遮られて見えなくなる。
「また葵が自分を責めているのは見たくない。もし彼女がまた自分のせいだって思ってるんだったら、今度こそ真正面からその目を見て、違うよって言わなきゃいけないんだ、僕は。それなのに、僕はまだこんなところにいる……!今すぐにでも葵のところに行きたいのに、あんなちっぽけなヘルメットがこんなにも遠い距離を生むことになるなんて……!」

マルバの頬を一滴の透明な液体が伝った。いまにも叫びだしそうなマルバの震える左手は、しかし、それが固く握られる前に小さな手に包まれた。
「大丈夫です。マルバさんがずっと、こんなにも妹さんのことを思っているのに妹さんがそれに気づかないわけないじゃないですか。兄妹なんでしょう?」

マルバはシリカを睨みつけて叫んだ。
「君は、どうしてそんなことを言えるんだ?僕は一度葵から逃げ出したというのに、なんで僕が葵のことをずっと思っていたなんて言えるんだ!僕は、あいつになにもできなかったっていうのに、なんで……!」

シリカもマルバに負けないように叫び返す。
「だって……そうじゃなかったら、なんでその名前なんですか。マルバさんはなぜ“Malva”さんなんですか!」
「……!」
「ずっと、心配していたからじゃないんですか?逃げてしまったことを謝りたいって思っていたからじゃないんですか!?だから、自分自身(プレイヤーネーム)を……(Malva)なんて名付けたんじゃないんですか!?自分のせいでピナが死んでしまったと嘆くあたしを……助けようと思ったんじゃないんですか!!」

二人はたっぷり一分ほど見つめ合った。
「……そう、だね。たしかにその通りだ。……あの時の君の目は、妹の目によく似ていた。放っておいたらどこかへ消えてしまいそうな弱い光を湛えた目だったよ
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