第三十二話 改革の反動
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っていた』と言ったのだ!」
ようやく、リッシュモンは、自分が釣られた事に気がついた。
「なっ、まさか、王子を囮に!?」
「君が釣られたおかげで、不貞貴族を一掃出来る」
「勝てると思っているのか!? それにゲ、ゲルマニアが黙っていないぞ」
「チェルノボークへ送られる君が心配する事ではない」
「ぐうう……」
「現実に目を向けず理想のまま進めばどういう事なるか、マクシミリアンには良い勉強になっただろう。その点に関してはお前達に感謝する」
エドゥアール王は最近のマクシミリアンを見て、一言注意しようと思っていた所だったが、リッシュモンの行動は息子にとって良い薬になると思っていた。
もっとも、王妃マリアンヌの行動は読めなかったが。
「ああ、忘れていた」
とエドゥアール王は、数枚の紙を取り出した。
「これは、君がロマリアとの密約で得た多額の献金の証拠だ」
「う!?」
リッシュモンは再びうろたえた。
まさか、ここまで緻密に調べられていた事に驚愕した。
「連れて行け」
「御意」
「おのれ〜」
リッシュモンは怨嗟の声を上げながら連れて行かれた。
「王宮内で乱痴気騒ぎをしている連中も全員逮捕しろ」
「ハハッ」
「王軍及び各諸侯に動員令を出せ。この期に乗じて反乱貴族を一掃する。それとマクシミリアンの所にも使者を送れ、事の成り行きを伝えろ、名誉挽回の機会を与える。とな……ああ、人選はマザリーニを、たしか初対面だったはずだ」
「御意!」
エドゥアール王は、図らずも事件の中心人物になった王妃マリアンヌの元へ赴こうとした時、不意に耳鳴りと激しい頭痛がエドゥアール王を襲った。
「んんっ!」
「陛下!?」
「陛下! 誰か典医殿を!」
家臣たちが騒ぐ中、エドゥアール王が頭を抑えて低く呻いていると、しばらくして耳鳴りと頭痛は嘘のように治まった。
「大事ない、収まったようだ」
突然の苦痛に解放されたエドゥアール王と家臣達はホッとため息をついた。
「念のため、典医の診察を受けよう。その様に取り計らってくれ」
「御意」
その後、典医の診察を受けると軽い過労と診察された。
エドゥアール王も、後に控える討伐軍編成の忙しさに、やがて頭痛と耳鳴りの事は忘れてしまった。
☆ ☆ ☆
「マクシミリアン殿下の御尊顔を配し恐悦至極……私はマザリーニと申します」
「前置きはいい、用件を伝えてくれ。これから登城しなければならない」
王宮での異変を聞いたマクシミリアンは、登城す
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