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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十二話 フリードリヒ四世
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的にはイゼルローン回廊が使えなければフェザーン回廊を使えば良いと気がつくはずです」

「! 有り得る」
「フェザーン回廊か」
老人たちは顔を見合わせながら口々に同意する。

「しかし、フェザーンが通行を許すかの、中立を守るのではないか?」
「陛下、フェザーンの中立は帝国への義理立てではありません。あくまで自国の利益のためです。今回のイゼルローン要塞攻防戦がそれを証明しています。フェザーンは明らかに反乱軍寄りの行動をしました。あれが無ければあのような惨敗は無かったはずです」

「陛下、ヴァレンシュタインの言うとおりです。フェザーンは自分たちの利になると思えばフェザーン回廊の通行を許す可能性があると思います」
エーレンベルク元帥が俺に加勢する。シュタインホフ元帥も頷いている。

「帝国が内乱状態になれば、反乱軍は必ずこれを好機と捉え帝国領への出兵を考えます。そしてフェザーン回廊の通行を実行しようとするでしょう。フェザーンは軍事力が有りません、これを拒めない。いやフェザーンの方が積極的に回廊の通過を勧めるかもしれません」

「国内が内乱状態にある中、フェザーン回廊から反乱軍が攻め寄せるか……」
沈痛な表情でリヒテンラーデ侯が呟く。そして思い付いた様に口を開く。
「エルウィン・ヨーゼフ殿下を皇太子にしてはどうじゃ。内乱は防げるのではないか」

「無理です。殿下には有力な後ろ盾がありません。ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯、その周りもそれを知っています。皇位を諦めないでしょう」

フリードリヒ四世がエルウィン・ヨーゼフを皇太子に指名しなかったのもそれが一因だと思っている。これまでの銀河帝国の歴史でも似たような事はあった。そして後ろ盾の無い皇族は殺されるか、自ら皇位継承を諦めて命を永らえた……。俺とリヒテンラーデ侯が組んでも彼らは諦めないだろう。

むしろ過激になるに違いない。俺やラインハルト等の新しい力が出て来た事に彼らは焦っているのだ。彼らには戦うための理由がある。自分たちの既得権益を守るために彼らは戦うだろう。

特に俺が宇宙艦隊司令長官になることは彼らにとって脅威だろう。これまで平民が宇宙艦隊副司令長官になった事は無い。それが今度は司令長官になろうとしている。彼らにとって平民は貴族に従うべき存在であって貴族を従える存在ではない。

リヒテンラーデ侯もエーレンベルク元帥も何処までそれを理解して俺を使っただろう。おそらく自分が生き残るために必死でそんな事まで考えている余裕は無かったろう。この世界の内乱は原作ほど権力闘争の色は濃くないだろう、むしろ階級闘争の色が強くなるに違いない……。



「つまり、卿は反乱軍を誘引し撃滅するべきだと言うのだな?」
エーレンベルク元帥が俺に確かめるように問いかけてき
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