背徳と罪人
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フタしているメルディ。しかし、ジェラールは表情一つ変えずに敵を見据えている。
「俺もあいつも、やらなきゃいけないことがある。そして、これは俺がやるべきことなんだ」
かつて楽園の塔にジェラールはいた。そしてそこには、六魔将軍もいたのである。彼らは交わることはなかったが、それぞれの辛い想いは手に取るようにわかる。だから、ジェラールは六魔将軍と戦わなければならないのである。
「気を付けろよ、カミューニ」
すでに姿の見えない青年に向け、小さく呟くジェラール。そして彼は、六魔将軍との戦いへと頭を切り替えた。
「言われるまでもねぇよ。あいつは・・・俺が殺る」
鋭い目付きでどこかへと向かっているカミューニ。彼の頭の中には、一人の人物のことしかなかったのであった。
「ハァッ!!」
「ふっ!!」
「ヤァァァ!!」
敵を蹴り、斬り、殴って圧倒している三人の妖精。わずか数分の出来事であったが、彼女たちと交戦していた鎧の男たちは、全員地に伏していた。
「片付いたな」
「さすがエルザとシリルね」
「ミラさんもすごかったです」
接収と換装をそれぞれ解くミラとエルザ。元議長を襲撃しに来た冥府の魔導士たちを一掃した彼女たちだったが、ある違和感があり、その表情は固かった。
「それにしても妙だな」
「エルザもそう思った?」
「どういうことですかね?これ」
転がっている一人を木の棒で突っついているシリル。敵兵はそれに反撃することができないほど弱っていたが、決して彼らはそこまで痛め付けたわけではない。
「元議長という最重要人物を狙ってきたにしては、歯応えがなさすぎる。どう見てもただの兵隊だ」
ヤジマを襲った冥府の門の一人、ノーランはBIG3と呼ばれるほどの実力者。しかし、今回襲ってきた相手は明らかにそれよりも格下・・・いや、端にもかからないほどの兵隊たちでしかない。
「クロフォードさんが最重要人物じゃないってことですか?」
「それはない。むしろ、彼を倒すことに全力を注ぐべきだ」
シリルが考えられる一つの可能性を述べるが、エルザに即座に否定される。疑問が頭を過る中、彼女たちをある異変が襲う。
「エルザ・・・シリル・・・」
「どうした?ミラ」
「何かわかりました?」
掠れそうな声で二人の名前を呼ぶミラ。エルザとシリルが彼女を見ると、銀髪の女性は目を半分閉じ、フラフラとしている。
「私・・・」
何かを言おうとしていたが、ミラは突然
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