背徳と罪人
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も関わらず、キッチンからティーカップを持ってきてハーブの紅茶を注いでくれるクロフォードさん。彼は注ぎ終わると、専用のお皿に載せて俺たちの前に差し出す。
「ありがとうございます」
「いただきます」
ペコッと一礼する俺とニコッと笑顔を見せるミラさん。部屋の中にはたくさんのハーブの植木があり
すごくいい匂いがしている。
「いいパルファ・・・香りですね」
注がれた紅茶を手に取り匂いを嗅いだエルザさんが、一夜さんのようなことを言おうとしたが、大急ぎで言葉を変える。イケメンの件もそうだけど、エルザさんは一夜さんに結構影響されているところが多いような気がする。
「久しぶりだね、シリルくん。この間のことは大丈夫だったのかね?」
クロフォードさんは、俺たちの前に腰かけ以前ここを訪れた時のことを訪ねてくる。解決した後に変装用に借りた服を返しにきたのだけど、列車の時間もあってお礼もちゃんと言えなかった。ここでお礼をしといた方がいいかな?
「あの時はありがとうございました。お礼が遅れてすみません」
そう言うと、彼は気にしないでと言い頭を上げるように言ってくれる。優しいなぁ、なんでこの人と仲いいのに、レオンはあんな性格なのかな?いい方に影響されればいいのに。
「ん?」
そんなことを考えながら彼の淹れてくれた紅茶を飲もうとしたのだが、飲む直前で手を止める。
「どうしたのかね?」
「いえ・・・」
急に手を止めたことで気になったクロフォードさんが質問してくる。気のせいかとも思いもう一度匂いを嗅いでみるが、やはりあることが引っ掛かる。
「これ、以前と同じ紅茶ですか?」
この前飲んだものとは匂いが少し違うような気がする。似ているような気もするけど、ちょっと違う。何が違うのかはわからないけど、なんとも言えない違いがある。
「ああ、前もカモミールを淹れたから、同じはずじゃが?」
「そうですか?」
違う種類のハーブではないらしい。改めて確認してみるが、やっぱり違う気がするなぁ。
「日によって多少の違いはあるさ」
「そうね。そこがまたいいんじゃない?」
「そうですね」
エルザさんとミラさんにそう言われ、紅茶を一口飲んでみる。味も多少違う気もするけど、さっきの匂いの問題と同じだろう。
「君のことも覚えておるぞ」
エルザさんに視線を向けるクロフォードさん。俺がまだ妖精の尻尾に加入する前、ララバイで起こった問題で彼女が評議院に呼び出されたことがあったらしい。その際、エルザさんのフリをして裁判に乱入したナツさんのせいで、日帰りで帰れるところを一日牢に入れなければならなくなったとか。さすがはナツさん、破天荒ですね。
「お恥ずかしい限りです/////」
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