第6章 流されて異界
第143話 太陽を纏いし女
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にやって来ると言う、高熱を発した時特有の状態が長く続いていた時だったので、実は完全に再生されるまでの正確な時間など覚えてはいない。
更に、瞳の完全再生など今回が初めてなので……。
実はもう少し簡単に再生する事も可能なのでは、と言う考えも頭の片隅には存在する。
ただそれ以上に、俺に対して不利となる事を有希がするとも考えられないので、彼女が完全に治癒するまでには一日掛かると言うのなら、それが妥当なのだろう。……と言う程度の知識しか持って居ない状態なので。
そう、実は治癒魔法に関して、俺はそう詳しいと言う訳ではない。ダンダリオンが居れば、彼女の意見と有希の意見を聞いてから判断する事も可能なのですが、彼女を今、ハルケギニアからこの世界に召喚すれば、向こうの世界の状況が悪くなる可能性が高くなるので、早々ウカツな真似が出来る訳もなく……。
何にしても、後の先を旨とする俺の剣に取って目は重要ですし、高速で印を結ぶ手も重要。この両方を同時に再生した後に、元のレベルにまで戻すのに一カ月ぐらいは訓練が必要だ、など言われる方が問題あり。
そう考えて、少々の違和感に関しては我慢する。それが俺の出した答えなので……。
「一応、俺がちょいと怪我をしただけで弓月さんやさつきに関しては無傷」
旅館の方を守っていた有希や万結に関しても問題なし。
「事件は終わった。昨夜から今朝に掛けて、この事件が理由で死亡した人間は一人もいない。あの犬神使いもちゃんと生きたまま捕らえる事に成功した」
泣き言を今更言っても意味がない。命があっただけでも儲け物。そう考えながら、ハルヒに報告を続ける俺。
もっとも、この内容に関しては表面的な物。さつきに関しては無傷。それは間違いありませんが、弓月さんに関しては謎。確かに、今日明日で生命に対して某かの不都合な事態が発生するとは思えませんが、それでも、五年先、十年先を考えると……。
今の俺が持って居る情報だけで未来は判断出来ない、と言わざるを得ない状態なのですが。
それでも一応、短い報告は終了。
……取り敢えず、今回のアラハバキ召喚事件はこれにて終了。弓月さんの事に関して今は無理。その他の細かな事も今は後回しにしても問題ないでしょう。
もうそろそろ生あくびをかみ殺すのも限界。流石に、ハルヒの前で大口を開けて欠伸をする訳にも行かないのでこれまでは我慢をして来ましたが……。
メガネを外し、包帯に覆われた手の平で目をゴシゴシと擦る俺。
本当ならば、直ぐにでも布団を敷いて眠りたいのですが……。
ただ、その前に。
「それでハルヒ――」
未だもう少しの間だけ、気力を充実させて置く必要がある。
この問いの答えを聞くまでは。
「ちゃんと眠る事は出来たか?」
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