第6章 流されて異界
第143話 太陽を纏いし女
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気がしたのだ。
……が……。
「そう言えば、何時もは妙に眼つきが悪い事があったわね」
腰に当てて居た手を胸の前で組み直しながら、答えを返して来るハルヒ。
そう、実は眼に力……霊力を籠めていなければ、相手の顔の判別すら難しい程度の裸眼視力しか俺は持っていない。大きな目にかなり長いまつ毛。二重の瞼に少し濃い目の眉毛。俺の顔の中でも一番印象に残るのがこの部分。そこに、始終霊力を籠めていたら、眼つきが悪いとか、パッと見、怖そうだとか言われる印象を持たれたとしても不思議ではない。
もっとも……。
眼つきが悪いとは心外な。……と、そう前置きをした後に、
「俺はメガネやコンタクトの異物感が我慢出来なくてな、実生活に多少の影響が出るけど、素顔のままで生活して来たんや」
開け放したままになっていた襖を閉め、昨夜、この部屋を出て行く直前まで座っていたテーブルの一辺に腰を下ろす俺。
本当なら既に体力的に言って限界が来ている。一度、ちゃんとした睡眠を取ってからでないと、疲れから少し刺々しい対応を取って仕舞う可能性もあるので……。
何がヨッコラショ、よ。あんた、爺臭いわよ。
いちいちツッコミを入れなければ気が済まないのか、そう一言発した後に、俺の対面側に腰を下ろすハルヒ。もっとも、そのツッコミ待ちで、敢えてそう言う台詞を口にしたのも事実なのですが。
少なくとも有希やタバサが居る時には使いませんよ、こんな余計な言葉は。何故ならば、あのふたりに、ハルヒのようなツッコミを期待する方が間違っていますから。
こう言うのはお約束のような物。あり過ぎるとウザく感じるが、無ければないで寂しく感じる物でもある。ネチネチと纏わり付くような嫌味な連中がやるイジメとは別モノと考えた方が良い。
もっとも俺の場合は、その相手の発して居る雰囲気を読む……ソイツが発して居る気が陰気なのか、それとも陽気なのかが分かるので、イジメなどとの違いが判断出来る、と言う事なのだが。
「それで?」
相変わらずの上から目線で。しかし、何故か、座ると同時に備え付けのポットから一度、湯呑みに移したお湯を急須に注ぎ込むハルヒ。
成るほど。まるで小姑のような細かいチェックかも知れない、……などと考えながらも、心の中でのみ小さく首肯く俺。
この作法を知っている。更に、急須の中に存在しているのは出がらしのお茶の葉……と言う訳でもなさそうなので、多分、わざわざ準備をして待っていてくれたのでしょう。
口から跳び出すのは悪態。態度は横柄。だけど、何のカンのと言って、俺の事を待っていてくれた事は間違いない。
「……取り敢えず、ただいま。朝茶は福が増す、なんて言うけどこれは案外、事実なのかも知れへんな」
一口、お茶を呑み、安堵に近
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