第6章 流されて異界
第143話 太陽を纏いし女
[7/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
らそう言う俺。口調は呆れた者の口調。その仕草と口調から、もしかすると、かなり嫌味なキャラに見えるかも知れないな、などと考えながら。
もっとも、これは表面的な物。少なくとも俺は怒ってなどいないし、おそらく、ハルヒ自身も不機嫌……ではあると思うけど、ふたりの関係を拗れさせる心算はないのだろう、と想像出来る対応だったと思うから。
関係を拗れさせる。つまり、二人の距離感がもう少し近いのならば、甘えに近い言葉。例えば、こんな時間まで待たせてどう言う心算よ、とか、連絡のひとつぐらい入れる事は出来なかったの、などと言う言葉が出て来ても不思議ではないタイミングだったと思う。
しかし、現実に彼女が取ったのは、昨夜、反射されたマクラをぶつけ返すと言う選択肢。
これは多分、今の関係にひびを入れたくなかったから。故に、必要以上に踏み込む事が出来ず、こう言う少しお茶を濁すような行動に出たのだと思う。
……もっとも、その事について俺が理解している段階で、ハルヒはもう一歩余分に踏み込んだとしても問題はなかったとも思うのですが。
少なくとも彼女が少々突っ込んだ内容の言葉を口にしたとしても、俺は「オマエには関係ないだろう」……と言う、彼女の事を完全に突き放した言葉を投げつける事はしない。
其処まで子供ではない……と思いたい。
「あんた……また、新しい属性を手に入れたのね」
オッド・アイから蒼髪。まるで三文小説の主人公みたいな容姿に、包帯少年。それで今回はメガネ男子と言う訳?
最初はしてやったり、……と言う表情で俺を見たハルヒが、しかし、直ぐに呆れたように話し掛けて来る。その表情は少し訝しげな雰囲気。
ただ、どうもその表面上とは違う気配を同時に発しているような気もする。これはもしかすると……。
「手に入れたも何も、俺は元々、メガネを掛けなけりゃならないほどの視力しかないぞ」
オマエ、普段の俺の表情や視線をちゃんと見ていなかったのか?
一応、事実をありのままに。しかし、少し軽い感じの雰囲気で答えを返す俺。普通に考えると、魔法が有っても尚、瞬時に怪我やその他を癒せない状況と言うのは、その魔法や術を知らない人間に取っては多少の不安を感じさせる可能性もある。
大丈夫、何も心配する必要はない。そう感じさせる事が出来るぐらいに、普段通りの少しいい加減な調子で。
ただ……
ただ、現状ではどうにも掴み難い彼女の雰囲気。ハルヒの場合、本心を隠しているのか、それとも本人も自分の感情に気付いていないのかが微妙な線なので、今、彼女がどう感じて居るのか、どう考えているのかが分かり難い時もある。
先ほど、俺を見た瞬間、ハルヒが強く発したのは呆れた、と言う感覚。しかし、その内側に低く押し殺した不安が見え隠れした……様な
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ