第八話 取引相手は極悪商人と赤毛の猫
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れ程借金を背負わなかった理由だったから。
「僕がミリーにふさわしい魔道具を作るまでの間のネグラを提供すること……でしょ? そして、完成した魔道具は無償で提供する。これって僕が使った魔石との釣り合い取れてるのかなぁ?」
「ミリーの魔道具に使用する魔石は無償提供すると言ったはずだ。あんなボロ小屋での宿泊で借金をチャラにすると言っているのだぞ? 文句があるなら今すぐ弁償してもらおうか」
「いや、別に文句はないけどさ」
そう言いつつ、ライドは視線をその“ボロ小屋”に向ける。
「口も性格も悪いのに、君は随分と妹に甘いんだな……って思っただけさ」
「別に甘いつもりはない。ただ──」
ライドの言葉にケリーは瞳を閉じる。
まるでその言葉が己の生き様だというように。
「あんな奴でもあいつは俺のたった一人の妹だ。自分の身を守る為の道具くらい用意してやりたい……それだけの事。最も、兄弟のいない貴様に言っても意味のない事かもしれんがな」
「……………………そうかもね」
ケリーの言葉にライドは後ろ手につきながら空を見上げ、逡巡した後それだけを答える。
その様子にケリーは多少の違和感を覚えたが、特に何も言わずに先程の紙片をもう一度叩いた。
「考えていないようで意外ともの考えてるんだね。腐り目野郎のクセに」
「ふん。まさか未熟者にそんな口を叩かれるとは。俺もまだまだ修行が足りん」
軽口に対して軽口で返すケリーの態度に、ライドは思わず笑い声を上げる。
そんなライドを横目で見ながら、ケリーも唇の端を僅かに上げた。
大陸の片隅に位置する田舎町カンタール。
ある夏の日に小さな露天が一店増えた。
その店は小さいながらも品揃えも良く、店主の目付きが悪いにも関わらずそれなりに繁盛していくこととなる。
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