第八話 取引相手は極悪商人と赤毛の猫
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をしてネリイの部屋を見つめるだけだ。
「案外、お前さんがそこの未熟者を守るのだって、結局の所──」
「もういい。それ以上喋るな腐り目野郎」
バシリッサに対して更に追求の色を濃くしていったターバンの男の言葉をライドが遮る。
その行為にターバンの男のみならず、バシリッサもミリーも驚いたようにライドに対して目を向けた。
「目的なんてどうでもいいだろ。今重要なのは僕が赤い髪の女の子とバシリッサに助けて貰った事実だけだ。それ以上何を求めるって言うんだ? なあ、“何もしなかった”口だけ男」
ライドの言葉に一瞬ぽかんとしたターバンの男だったが、直ぐに顔を真っ赤にして口を開きかけて──
結局何も言わずに立ち上がった。
組んでいた腕を解き、腰に手を当てて見ているのは破壊されたネリイの部屋。
「何もしなかった……ね」
そして呟くと、ミリーの傍まで歩を進め、少女が抱えていた木片を一切れ抜き取った。
「この部屋を壊した誰かさんの魔道具。それを起動するための魔石を貸したのって誰だっけ?」
そして放たれる衝撃発言に、ライドの顔色が青くなる。
それは今は考えたくない事案の一つであったから。
「あの時俺は言ったよなぁ……貸しってよ。それが無くなっちまったんだから、当然弁償だよな? 何しろ──」
そして、ターバンの男は振り返り、自身の腰につけていた袋を外すと軽く投げ、右手で上手にキャッチする。
その時、袋から沢山の石が入っているらしいジャラりという音がライドの位置からも聞き取れた。
「──俺の名はケリー。こう見えても魔石商人をやっている。大切な商品を無くされた責任はとってもらうぜ? 魔道技師様?」
「……そういえば」
そんな絶望的な事を言ってくるターバンの男──ケリーに続くように、今度はネリイの部屋の中で佇んでいたバシリッサが思い出したように声を上げる。
その声色にライドはなんだか嫌な予感がして遮ろうとしたが、当然間に合うはずもなく。
「今は不在だから良かったですが、大家さんが帰ってくるまでにこの部屋の修理はした方がよくありませんか? ただ、その際は結構なお金がかかると思いますけど──」
そこまで口にして、バシリッサはようやく振り返り、少々不憫な人を見るような眼差しをライドに向けた。
「──お金。あります? 何でしたら立て替えてもいいですけど」
向けられる三つの視線。
内一つは何も考えていないようなものだから別に良かったのだが、残り二つに関してはそうもいかない。
ライドはしばらくどうすればこの場を乗り切れるか考えたが、手持ちの金がない以上どうしようもないという答えしか浮かんでこなかった。
その為、ライドはネリイの私物を拾い集める作
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