第八話 取引相手は極悪商人と赤毛の猫
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の望み通り今は引こう。しかし、次会う時にまだ利用価値があると判断したならその時は──」
緑髪の男の動きにバシリッサは咄嗟に振り返るとライドの手を取り後方に飛ぶ。
その様子にターバンの男は一瞬「え?」と言った表情を見せたが、その後の出来事が変わるわけではない。
「もう一度“お前”の前に立たせて頂く!!」
叫びの終わりと同時に地面に叩きつけられる魔道剣。
魔石の力を使ったのか凄まじい衝撃音と弾かれるように飛び散る石礫。
ライドを庇いながら飛んでくる石礫を捌くバシリッサと器用に避けるミリーの姿を納めた視界の片隅で、石礫の直撃を食らって悶絶しているターバンの男の姿を確認しながらライドが最後に見たのは、舞い上がる粉塵の中、まるで初めからそこに誰もいなかったかのように姿を消した緑髪の男の気配だった。
「新緑のハンターフィン。現存するハンターの中では最も高い知名度と実力を誇り、ハンター、あるいは傭兵で彼の名前を知らない人間はいないでしょう」
既に日が落ちて暗くなってしまったネリイの家の庭先で、見える範囲で破壊されてしまったネリイの部屋の私物を拾い集めながら、ライドはバシリッサの説明を聞いていた。
その説明で分かった事は、自分を脅していた人間が、フィンというその道ではかなりの有名人だという事だった。
「ハンターフィン……か。名前だけなら俺も聞いた事があるな」
そんな中、一人だけ何もせずに地面に胡座をかいて腕を組んでいたターバンの男が話に乗ってくる。
「獣の血を引いていながら最も獣人を殺してきたハンターだ。だが、最近になって突然獣人を殺さなくなったらしいな。ハンターのクセに獣人を狩らずに何をしているのかと思えば、野盗にまで身を落としていたか」
「やとうってなにー?」
フンっと鼻を鳴らして言い捨てたターバンの男に対して、せっせと辺りに散らばった木片を拾い集めていたミリーが尋ねる。
しかし、そんなミリーの疑問に答えたのは非協力的な目つきの悪い男では無かった。
「一言で言えば盗賊です。何の関係もない人から暴力でほしいものを奪う人の事を一般的にそう呼びますね。最も、あの男が野盗かどうかは今は決め付けるべきではないと思いますが」
半分以上破壊されてしまったネリイの部屋を片付けながらミリーの問いに答えたバシリッサだったが、そんなバシリッサの言葉に悪意で返した人間がいた。
「同じ目的を持つ者同士……ってか? お前さんの持つ魔道具がどういうもんかは想像でしかわからないが、俺の考え通りのものだとしたらお前さんがやっている事と新緑のハンターがやっている事の違いって何かね」
「…………」
ターバンの男の発した言葉にバシリッサは答えない。
ただ、酷く冷めた目
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