第八話 取引相手は極悪商人と赤毛の猫
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に対して牙を剥いたというわけではない。
そもそも、獣人達に対抗するために強化されたハイブリッドも存在した位なのだ。
そして、少数ではあったものの人類側に組みしたハイブリッド達は他の人間と同じように普通の人間と結ばれ、子を宿した。
やがて長い時間が経過し、獣人達の驚異も消えて、ハイブリッド達の血も薄まって嘗ての……獣人達が発見される以前の状態に戻りつつある現在になって残ったもの。
それが、ハイブリッド達の子孫が受け継いだ体毛だった。
「……獣の血を引いた……か」
そして、恐らくその子孫の一人なのであろう緑髪の男は、バシリッサの挑発に対して怒りを表すでもなく自嘲気味に呟く。
「お前のような考えの人間がいるからこそ先の大戦が存在した……とは考えないのか?」
「貴方が今戦っている理由がそういった大義の元に行っているのだったら多少は重みのある言葉なのでしょうね」
しかし、緑髪の男の呟きに対して、バシリッサは眉も動かさずに「でも」と続ける。
「やっているのが強盗、恐喝の類では些か軽すぎるというもの」
「……違いない」
緑髪の男は笑みを浮かべると、魔道剣を自分の顔が隠れるように水平にして構える。
その形は本当にバシリッサの持つ魔道剣にソックリで、作者が同じか、どちらかがレプリカであるというのがライドの考えだった。
そんな緑髪の男に合わせるように、バシリッサも魔道剣を構える。
最もこちらは両手で持った剣先をまっすぐ緑髪の男に向けたオーソドックスな構えではあったが、緑髪の男に魔道剣の姿形を見せるのには十分だった。
「その剣は……」
緑髪の男は驚いたように呟くと、嘗てないほどの笑みをその表情に張り付かせた。
「ふっ……ふはははは。何が『獣の血を引く──』だ。選民意識に凝り固まった人間が。お前こそ同じではないか。私と同じではないか! 何が違う!? ええ!? 何が違う!?」
突然の豹変ぶりにライドは驚いて緑髪の男を凝視する。
そのまま周りを確認すると、緑髪の男の反対側で構えているミリーも驚いたように身を引いているのが見えた。
だが、そんなライドとミリーと対照的だったのは残りの二人だった。
はっきりとした敵意をぶつけられたバシリッサは冷めたような表情へと変わり、ライドの隣に立っていたターバンの男はバシリッサの方へと鋭い視線を向けていた。
「魂を喰われた者は魔石に魅入られ、魔石を探し求めるという。『魂砕き』を持っている限りお前と私の思想は正反対でも目的は同一。なら、いずれ再び相まみえる事もあろう。確かに不利な条件下ではあるし……な」
緑髪の男はちらりとミリーの方へと視線を向けると、魔道剣を頭上に掲げる。
「お前達
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