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青砥縞花紅彩画
6部分:新清水の場その六
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「まずは懐をあらためい」
赤星「お主等に出来るかな(不敵な様子で言う)」
侍一「(憤りながら)何、小僧っ子の分際で」
侍二「懲らしめてくれるわ」
赤星「やってみせよ。できるならな」
 ここで赤星も侍達も刀を抜く。
赤星「ここは丁度寺じゃ。供養の心配はいらぬぞ」
侍一「それはこちらの台詞じゃ」
侍二「覚悟せい」
 三人は打ち合う。だが赤星が強く忽ち二人を打ち倒してしまう。
赤星「もう終いか」
侍達「ぬうう(呻きながら倒れている)」
赤星「他愛のない。峰打ちじゃから安心せい。(ここで典蔵に顔を向ける)さて」
赤星「次はお主が相手になるか(刀を構えながら」
典蔵「(顔を顰めさせて)おのれ、何という奴じゃ」
赤星「さっさと逃げるがいい。さもなければ痛い目をみるぞ」
典蔵「(ぬかせ、若僧が(ここで彼も刀を抜く)」
赤星「そうでなくてはな。行くぞ」
典蔵「参る」
 二人は打ち合う。激しいやりとりだが赤星が勝っている。典蔵は次第に追い詰められていく。
赤星「さあ、どうした。これまでか」
典蔵「おのれ」
 結局典蔵は負ける。打ち倒した赤星は背を向ける。
赤星「それではな。さらばだ」
典蔵「(起き上がりながら)待て」
赤星「(顔を向けて)まだ何か用か」
典蔵「名乗れ。何者だ」
赤星「拙者の名か。赤星十三郎という」
典蔵「お主がか。信田家きっての剣の使い手という」
赤星「巷ではそう言うらしいな」
典蔵「我等を小田の家の者と知ってのことか」
赤星「(それに驚き)何!?」
典蔵「どうした、何がおかしい」
赤星「それはまことでござるか(急に態度を改める)」
典蔵「如何にも。嘘を言ってどうする」
赤星「(首を横に振りつつ)ああ、わしは大変なことをしてしまった」
典蔵「?どういうことじゃ」
赤星「先程あの御二人に問われたことですが」
典蔵「うむ」
赤星「これのことでございますな」(ここで懐から包みを取り出す)
典蔵「それはまさか」
赤星「はい。これは先程そちらからとったものです。貴方達の御言葉通り私はこの百両を盗んだのでございます」
典蔵「何故そのようなことをした」
赤星「(俯いて)それは」
典蔵「申してみよ。お主程の者がその様なことをするのには訳があろう」
赤星「はい、実は主の奥方様が病に臥せっておられるとのことで。何としても金が欲しい状況でありまして」
典蔵「信田の奥方がか」
赤星「(頷いて)はい」
典蔵「そうだったのか。生きておられたのか」
赤星「しかし最早かなり危うい状況でございます」
典蔵「それは知らなんだ。あの元気な方がのう」
 ここで先程赤星に倒された二人の侍が起き上がる。

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