第71話
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口付けが終わった後のフィーナの迷いのない微笑みをアドルは見つめ続けた後、優しげな微笑みを浮かべて頷いた。
「それよりアドルさん、ここがどこかわかりますか?」
「えっと…………どうやらここはエレナ達が幽閉されていた場所のようだな………まいったな………地下の一番奥まで落ちてしまったのか………」
そしてフィーナに尋ねられたアドルは周囲を見回した後答え、溜息を吐いた。
「そうですか………早く皆さんと合流しませんと………うっ………!?」
アドルの言葉に頷いたフィーナだったが、急に吐き気を感じて手を口に当てた。
「フィーナ!?一体どうしたんだい!?」
「…………フウ………………心配しないで下さい……ただの妊娠の兆候ですから…………」
自分を心配して背中をさするアドルにフィーナは一息ついた後、幸せそうな表情でアドルを見つめて答えた。
「に、妊娠!?フィーナが!?」
「はい。この世界に来てから今まで感じた事のない違和感を何度も感じましたから、医療に詳しい方達――――ティナさんやペテレーネさんに看て頂いた時、そう言われました。」
「………ま、まさか君のお腹の中にいる子は………」
顔を赤らめて答えたフィーナの言葉を聞いたアドルは信じられない表情で見つめ
「………………私が身体を許したのはアドルさん、唯一人だけですし、これからも変わりません。」
「……そうか………………!でも、フィーナ。君が元の世界に帰還したら………!」
「フフ………大丈夫ですよ。いつか役目を終える時が来れば………この子を産む事になるでしょう…………最も、その時が来るのは遥か先ですが…………」
「…………………………フィーナ……………」
寂しげな笑みを浮かべて語るフィーナをアドルは辛そうな表情で見つめていた。
「そんな辛い顔をしないで下さい。私のお腹の中にアドルさんと出来た赤ちゃんがいると知った時………とても幸せでした………!この子がいれば、貴方がいなくなった世界でも強く生きていけます………」
「……………………すまない………君がその子を産んだその時、”人間”である僕は…………」
「………わかっています。ですからアドルさん、お願いがあるんです。」
「何だい?」
「………この子の名前はせめてアドルさんが決めてあげて下さい。今すぐでなくても構いませんので。」
「………わかった。この”影の国”から帰還するまでには必ず考えておくよ。」
フィーナの言葉を聞いたアドルは力強く頷いた後微笑んだ。
「ちなみに女の子ですから、可愛い名前をお願いしますね。」
「………何で産まれてもいないのに性別がわかるんだい?」
「フフ………ただの勘ですよ。」
「ハハ…
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