第三章
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「華やかでそれでいて控えめな」
「そうした国よね」
「知れば知る程ね」
それこそというのだ。
「不思議に思える。そんな国だよね」
「その日本から来た人がね」
「作ったお菓子なんだ」
「これが凄く美味しいらしいのよ」
言いながらさりげなくだった、今度は。
彼のその手にだ、自分の手を絡ませた。指と指を絡ませてそのうえで動かせながらそうして彼にさらに話すのだった。
「だから一緒にね」
「行って二人で食べる」
「そうしましょう」
「そうだね」
手の動き、先程の目と口のそれも受けてだった。ジルは。
マリーに傾いてだ、こう答えた。
「いいね」
「ええ、それじゃあね」
こうしてだった、二人はデートに行く約束をして。
そのうえでカルチェ=ラタンに行った、その時に。
マリーはあえてだった、胸が大きく開いた服を着ていった。ジルは彼女のその服には何も言わなかったが。
ついつい胸に目をやってしまった、マリーもそれはわかっていた。
しかし何も言わずにだ、彼にこう言った。
「じゃあ行きましょう」
「う、うん」
ジルはマリーにだ、彼女の胸を見ながら応えた。
「これからね」
「それじゃあね」
マリーは彼に寄り添った、この日も彼の手を身体全体で抱き締めて。
そのあえて出している胸を近寄せた、するとジルは。
顔を真っ赤にさせた、だが表情には出さずにだった。
マリーとのデートに入った、デートの間さりげなくだった。
マリーは甘い声も出した、時々であったが。そうしてジルの内心をさらに刺激していって。
その店のところまで来た、店はごく普通の出店に近いものだった。
その店でだ、二人でマリーが言う日本のクレープとアイス、それに飲みもののお茶を買った。ジルはまずはクレープについて言った。
「ふうん、これがなんだ」
「日本のクレープらしいわね」
「フランスのものよりもね」
中に入っているものを見つつ言う。
「豪勢だね」
「バナナにクリーム、チョコレートってね」
「トッピングにコーンフレークを砕いたものもかけていて」
「香ばしさも出してるのね」
「これはまたね」
「贅沢よね」
「アイスもね」
ジルは今度はこちらについて言った。二人は店の外に用意された白い洒落た席に向かい合って座っている。テーブルと椅子はパリ風である。
「緑だね」
「お抹茶のアイスらしいわ」
「その日本のお茶の」
「これね」
マリーはそのお茶を指し示した、奇麗な緑色の冷えたお茶だ。
「グリーンティーね」
「話は聞いてたけれど」
「ジルははじめて?飲むの」
「うん、はじめてだよ」
実際にとだ、ジルは答えた。
「このお茶を見るのも」
「そうよね」
「それはマリーもよね」
「ええ、私もよ」
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