第2話 アガサの若騎士
[1/2]
[8]前話 前書き [1]次 最後
526年、9月12日、午後1時13分
アガサ王国領ドナイツ城塞???南方戦線駐屯地
ドナイツ城塞は、シュッツハルト平野より南東???"テノジア王国"に最も近い城塞だ。
2年前、ドナイツ城塞はテノジア王国の侵攻によって陥落した。しかし、当時西方戦線から離脱し、東方戦線に配属されたルーカス、パトリックは部隊を率いて急行、ドナイツ城塞を無力化し、再び手中に収めたのだった。
その後、少数の兵士しか配属されていなかった南方戦線に戦力が注がれ、ルーカスらも配属された。
更に、西方戦線騎兵隊長のネルソン・ドレイヤーも南方戦線に配属され、アガサ屈指の戦力を誇った。
「???ルーカス、パトリック、お前ら一体、どこ行ってたんだ」
城塞内の馬舎で愛馬の世話をしていたネルソンは手を止め、腕を組んで問うた。
二人とも、黙ったままネルソンの目を見つめる。
暫く沈黙が流れ、膠着していたが、やがてネルソンは諦めたように、ため息をついた。
「…全く、暇じゃないってのに…まぁ、今回は許す」
そう言ってネルソンは愛馬に向き直ろうとして、思い出したようにルーカス達を振り向いた。
「そうだ、次の作戦の指示が出ているぞ」
「本当か?」
ルーカスは食い気味にネルソンに問うた。
「ああ、テノジアの奴らが国境を越えて侵攻してきたそうだ。それを迎撃しろ、との事だ」
テノジア王国???。
そこは、アガサ軍が敗北した地、かつてアガサ国王であったアルゴン王が、奮戦の末戦死した地であった。
アガサ軍の敗因は、兵士達の溜まりに溜まった疲労、そしてテノジアの気候だった。
年間を通して気温が高い事で知られているテノジアは、気温差の少ない地に住むアガサ人にとって不利な地だったのだ。
「奴らは、ここから南東のハイエル丘隆地に陣を敷いているとの報告だ」
ネルソンは、馬舎の柱に立て掛けていたバルディッシュを担ぐと、鞍に跨った。
「気を引き締めろ。メイソン騎士団…いや、メイソン帝国も参戦する恐れがある」
?????????????????????????
526年、9月12日、午後3時40分
アガサ王国領ハイエル丘隆地
「???あれか」
ルーカスは馬を止めると、アーメットのバイザーを押し上げた。
視界が開けると、なだらかな丘の眼下に、テノジア軍の陣が敷かれていた。
整然と敷かれた陣の周辺には、馬による突撃を防ぐ為の拒馬や、物見櫓が無数に設けられていた。
さながら、一つの大きな砦のようであった。
「…ここから見えるだけでも、相当な兵力だぞ」
「俺達だけで勝てるのか…?」
騎兵達の間から、動揺の声が次々と上がった。
ネルソンの率いる部隊は、2千騎。対して、テノジア侵攻軍は凡そ6千500騎だった。
4千500騎と言う圧
[8]前話 前書き [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ