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青砥縞花紅彩画
3部分:新清水の場その三
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れを聞いて急に顔が明るくなる)それはまことか」
赤星「はい、嘘ではありませぬ」
頼母「では頼めるか、そなただけが頼りじゃ」
赤星「お任せください(胸を叩くがやや軽い)」
頼母「では頼むぞ。わしはわしで動く故な」
赤星「はい」
 こうして二人は別れる。頼母は舞台から消え赤星だけになる。
赤星「さて、問題はこれからじゃ。受けたもののやはり百両ともなるとどうしたものか」
(首を捻って考える)
赤星「やはり日本駄右衛門を倒すしかないかのう。まともに刀を交えて勝てる相手とは思えぬがそれしかあるまい」
赤星「(ここでハッとする)待てよ」(右手に顔を向ける)
赤星「そうじゃ、ここは寺じゃった。とりあえずは神頼みといこう」(そして右手に向かう)
赤星「参拝してみよう、そうすれば御加護が得られるかも知れん」
 そして赤星は消える。入れ替わりに千寿姫と侍女達が左手から出て来る。
侍女「姫様、元気になられましたか」
千寿「(微かに微笑みながら頷いて)はい」
千寿「ようやく落ち着いてきました」
侍女「それは何より。皆心配しておりました故」
千寿「心配をかけました」
侍女「いえいえ、姫様が元気になられて何よりです。ところで」
千寿「はい」
侍女「香合はお持ちですね」
千寿「ええ、ここに(手に持つ箱を見せる)」
侍女「それならばよろしいです。近頃この辺りを荒らす盗人共が出ておりますから」
千寿「盗人」
侍女「はい、日本駄右衛門とその一党です。千人余りの大盗賊だそうです。あの者達が何処にいるかわかりませんから御気をつけ下さい」
千寿「わかりました」
侍女「それでは辺りを御覧下さい。素晴らしい眺めでしょう」
千寿「そうですね、まるで鎌倉が全て見渡せるようです」
侍女「金沢の能見堂、そして入海。そちらが」
千寿「江の島の弁天様ですね。あそこが八幡様」
侍女「左様です、よく御存知ですね」
千寿「話に聞いておりましたから。それにしても何と美しい」
 二人は次第に右手に寄る。そして左手から二人の若い男が出て来る。

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