第五章
[8]前話
「それを普通に持たれるとはまさに」
「関菩薩の様か」
「そう思いまする」
「では戦においてもな」
「関菩薩のの様にですか」
「戦おうぞ」
李江は親父に笑って言ってだ、代金を払って家に戻ってだった。その青龍偃月刀を庭で縦横に振るって言った。
「よし、いい感じじゃ」
「相当な重さですが」
「それでもですか」
「合っておる」
彼にはというのだ。
「これはよいな」
「相当な重さですが」
「その重さがよい」
彼にとってはというのだ。
「礼を言う、ではこれを持っていってじゃ」
「そして、ですか」
「武挙も受けようぞ」
こう言ってだ、実際にだった。李江はその青龍偃月刀を手に持ち武挙を受けた。試験を見る者達は彼がその巨大な武器を自由自在に操るのを見て言った。
「まさにな」
「うむ、関菩薩の如き」
「これはいいな」
「あれだけ大きな武器をあそこまで自由に使うとは」
「兵法もわかっておる」
「しかも馬も弓もかなりのもの」
「この者は及第じゃ」
こうしてだった、彼は見事及第し武官になることになった。そして彼の望み通り遼との戦に出てその青龍偃月刀を振って。
そして敵を薙ぎ倒してだ、遼の兵達に恐れられた。
その彼をだ、宋の将軍達もこう言った。
「まさに関菩薩」
「関菩薩の生まれ変わりの様じゃ」
こう言うのだった、何時しか彼は大刀だの小関羽だの呼ばれる様になった。彼はそう呼ばれて笑顔で言った。
「この武器に出会えてよかった」
「左様ですか」
「青龍偃月刀を手に持たれて」
「そう思われていますか」
「うむ、若しこの武器を持っていなければ」
とてもというのだ。
「今の様にはなっていなかった」
「まさにですか」
「その青龍偃月刀と出会えた」
「それが今の李江殿にされたということですな」
「武器も巡り合わせじゃ」
どういった武器を手にするかはというのだ。
「よい、自分に合った武器に出会えるかはな」
「ご自身で探しても」
「それでもですか」
「中々出会えるものではない、人と人の出会いと同じじゃな」
こう言うのだった、そしてだった。
彼はその青龍偃月刀で戦い続けその武名を天下に知らしめた、まさに関羽の如くと言われ続けるのだった。
大刀 完
2015・11・22
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