第三章
[8]前話 [2]次話
戦はすぐに終わり賊は皆倒すか捕らえることが出来た。その賊退治を終えて屋敷に帰ってからだった。彼はこんなことを言った。
「どうもわしの武器はだ」
「それはですか」
「大斧を使われていましたが」
「敵から手に入れた」
「そうした武器の方がいいのかもな」
こう言うのだった。
「重く両手に持って振り回すな」
「ですか」
「ではこれからはですか」
「そうした武器を使われますか」
「考えてみる、大斧だけでなくな」
その他にもというのだ。
「そうした武器を試しに使ってみよう」
「わかりました、では」
「そちらもお励み下さい」
「そうした武器を試されることも」
「そうしたい」
こう話してだ、そしてだった。
李江は実際にだ、大斧に他の重く両手で持って振る武器を使ってみた。そうして一つ一つやってみてだった。
大斧だけでなく方天画戟も使ってみた、槍の柄の両端に月形の刃を付けたそれも屋敷の庭で振ってみた。
そしてだ、家の者達に言った。
「よい武器だが」
「それでもですか」
「旦那様にはですか」
「どうも軽い」
こう言うのだった。
「これもな」
「あの温候が使っていたといいますが」
「漢の末の」
呂布のことだ、三国時代でも最も強かったと言われる者だ。
「その方天画戟もですか」
「若旦那には」
「やはり軽い、軽過ぎて調子が出ぬ」
彼の剛力の前にはというのだ。
「今一つな」
「では先日の大斧は」
若い家の者が彼に問うた。
「如何だったでしょうか」
「実はあれもな」
「軽かったのですか」
「わしにとってはな」
そうだったというのだ。
「あれでもな」
「あの斧も相当でしたが」
「御主達ならそうであろうが」
しかしというのだ。
「わしにとってはじゃ」
「若旦那のお身体では」
「どうも軽かった」
その大斧でさえというのだ。
「だから使うのを止めた」
「左様ですか」
「他に。より重くな」
そしてというのだ。
「思う存分振り回せる武器が欲しいが」
「でしたら」
家の者の中で最も歳を重ねている包宗が言ってきた。髪も髭もすっかり白くなっている飄々とした感じの老人だ。
「先程温候のお話が出ましたし」
「それでか」
「はい、同じ時代の関菩薩の使われていたものはどうでしょうか」
「青龍偃月刀か」
「はい、あれは」
「ふむ」
関羽の名と彼の武器の名前を聞いてだ、李江は。
考える顔になってだ、暫くその顔のままでいて。
そのうえでだ、こう包宗に言った。
「よいかもな」
「あれは大斧よりも遥かに重いですし」
「しかも振り回してな」
「幾人切ってもです」
「剣の様に血糊が付いてもな」
「斬れぬ様になっても」
それでもというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ