第九章
[8]前話
「御前の場合は」
「そうかも知れないですね」
自分で言った潤だった、ここでも。
「本当に」
「俺は御前のブレーキ役か」
「いや、先輩ですよ」
「先輩か」
「はい、そうです」
こう笑って言うのだった。
「先輩は先輩ですよ、俺の」
「そういうことか、じゃあこれからもな」
宗男は潤の言葉を受けてだ、そしてだった。
そのうえでだ、こう潤に言った。
「先輩として御前の傍にいるからな」
「宜しくお願いします」
「後ろも横も任せろ」
これからというのだ。
「是非な」
「そうしてくれますか」
「先輩だからな」
「それで、ですね」
「御前は安心して無茶をやれ、いいな」
「わかりました」
こうしたことを話してだった、二人で。
この日は楽しく飲んだ、だが潤はかなり深酒をしてだった。
酔い潰れる寸前になっていた、宗男はその彼を肩に担いで苦笑いをして潤に問うた。
「歩けるか?」
「何とか」
「全く、今日は飲み過ぎだぞ」
「すいません」
「いいさ、タクシー呼んだからな」
「それに乗ってですね」
「家まで帰れ、そしてまた明日な」
その明日にというのだった。
「一緒に頑張ろうな」
「宜しくお願いします」
潤もその言葉に頷いてだ、そしてだった。
酔い潰れる寸前だったが宗男に呼んでもらったタクシーに乗って家に帰ってこの日は休んだ。そしてだった。
そのうえでだ、次の日も元気に出勤して宗男と一緒に仕事をするのだった。無鉄砲だが彼に助けてもらいながら。
先輩 完
2015・11・17
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