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青砥縞花紅彩画
28部分:極楽寺山門の場その一
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次郎、名前も顔も覚えているな」
弁天「当たり前だろうが、忘れるわけがねえ」
南郷「噂によるとあいつは言いつけまでしたそうだぜ」
弁天「本当か!?」
南郷「ああ、それで今奉行所も動いているらしい。注意しろよ」
弁天「おう、わかった。じゃあここにも長居は無用だな」
南郷「そうだな、そうしようぜ」
 二人はすぐに蕎麦を食べ終える。丼と勘定を置き右手に去ろうとする。ここに右手から狼の悪次郎がやって来る。
弁天「何っ」
南郷「おい、まずは隠れようぜ」
弁天「ああ」
 そして二人は後ろの松の木に隠れる。そして悪次郎を見やる。
次郎「さてさて、この香合、一体何処で売ろうか。これまた思わぬ宝じゃわい」
弁天「あの野郎、何言ってやがる」
南郷「許しちゃおけねえな」
 二人は悪次郎の後ろに回り込もうとする。彼はそれに気付かない。
次郎「娑婆に出たら何をしようか。まあとりあえずは一杯しゃれこむとしよう」
 蕎麦屋に行こうとする。だがここで二人が声をかける。
二人「おい」
次郎「(青い顔で振り向いて)その声は」
弁天「まさか俺達の顔を忘れたわけじゃねえだろうな」
南郷「どのみち忘れたなんて言わせねえぞ」
次郎「な、何でここに」
弁天「俺がここの蕎麦屋を贔屓にしていたのが運の尽きだったな」
南郷「それで俺もここを通り掛かったんだ」
次郎「くっ・・・・・・」
弁天「さて、覚悟はいいな。さっさと香合出しやがれ」
南郷「手前が持ってるのはわかってるんだ」
次郎「ちっ、こうなったら(切羽詰って小刀を抜く。しかし二人はそれを見ても余裕である)」
弁天「ほお、光物を出すか」
南郷「じゃあ俺達も出すとしようぜ」
弁天「おう」
 二人は刀を出す。悪次郎はそれを見てさらに青い顔になる。

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