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先輩
第二章
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「俺は刑事だからな」
「刑事だから何なんだよ」
「そんなの知ったことかよ」
 酔っ払い達はかなり酔っていて理性を失っていた、それで彼が自分が刑事だと言ってもそれでもこう返したのだ。
「俺達は大事な話してるんだよ」
「だからさっさと帰れよ」
「そうはいくか、とにかく喧嘩は止めろ」
 こう言ってだった、青年は。
 まずは一人にだ、柔道の当身を仕掛けてだった。
 それで動けなくしてだ、もう一人が。
 何かしようと動いてきたがその瞬間にだった、彼の背中に回り込んで。
 その手を羽交い絞めにした、そして彼に問うた。
「もう止めろ、いいな」
「だから何なんだよ御前は」
「言ってるだろ、俺は刑事だ」
 またこう言うのだった。
「刑事として止めに入ったんだ」
「刑事がそんなに偉いのかよ」
「偉くないがこんなこと許せるか」
 これが青年の返事だった。
「絶対にな」
「許す許さないとかじゃないだろ」
 ここでだ、別の声がした。そして。
 場に愛嬌のある目をしていて飄々とした趣の一七五位の背の男が来た。年齢は二十二歳位か。痩せた身体をダークグレーのスーツで包みネクタイを雑に巻いている。
 その彼がズボンのポケットに手を突っ込みながら来てだ、こう言うのだった。
「全く、またやったな御前は」
「あっ、先輩」
「先輩じゃないよ」 
 飄々とした男は青年に対して言った。
「そんな問題じゃないだろ」
「っていいますと」
「部長から聞いたぞ、またやったらしいな」
「あっ、そういえば」
 青年も言われてはっとなった。
「俺また」
「事件のことを聞いて飛び出たな」
「いてもたってもいられず」
「そうだな、周り止めただろ」
「そうだったかな」
「そうだったかじゃないよ、とにかくな」
 男は青年の前に来てだ、そして。
 彼の頭を軽く小突いてからだ、こう言った。
「とにかく酔っ払い連中はトラ箱に放り込んでな」
「そしてですか」
「御前は俺と一緒に来い」
「部長の前にですか」
「そうだ、説教部屋に行くぞ」
「わかりました」
 こうしてだった、とりあえず二人で酔っ払い達を青年が運転して来た車の助手席に放り込んで署に着いてすぐにトラ箱に放り込んでだった。
 男は青年は警部の前に連れて行ってだ、敬礼をしてから言った。
「横溝宗男巡査部長、城戸潤巡査戻りました」
「言いたいことはわかってるな」
 警部はすぐに青年、城戸潤に問うた。
「今朝言ったな:」
「はい」
 潤もすぐに答える。
「飛び出るなですね」
「そうだ、刑事の仕事は何だ」
「チームプレーです」
 潤はまた答えた。
「何といっても」
「そうだな、しかしな」
 警部は苦い顔で言うのだった。
「御前はどうだ」
「はい、気付いたらで
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