第三章
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「そうするぞ」
「わかりました、では」
「その様に」
廷臣達は王の決定に頷いた、こうしてだった。
モンフェラート候は太子となった、このことに。
他国も門閥貴族も聖職者達もだ、眉を顰めさせて言った。
「まさかな」
「あの様な血縁の薄い方を太子にされるとは」
「王は何を考えておられる」
「理解出来ない」
「確かに王家の血を引いておられるが」
「傍流もいいところだ」
まさにというのだ。
「まして他国からも門閥貴族からもだ」
「どの宗派からもだ」
「一切後ろ盾はない」
「それでもいいのか」
彼等は王や廷臣達とは逆の考えを言っていた、こうした考えもあるからだ。
「侯爵を太子にして」
「確かにまだ若いが切れ者というが」
「王家の傍流を太子とされるか」
「どうお考えだ」
「何を考えておられる」
首を傾げさせていた、多くの者が。だが。
王は自身が太子とした侯爵を呼んでだ、彼の整った鋭利な顔と長身で引き締まった身体を見つつ言った。
「卿の思うままにするがいい」
「これからですか」
「余が卿を太子に選んだが」
「その太子、そして次の王としてですね」
「為すべきことはわかっているな」
「はい」
一言でだ、太子は王に答えた。
「私としましても」
「ではだ」
「私の思うままにですね」
「してみろ」
これが王の言葉だった。
「いいな」
「わかりました、では」
太子は王に一礼して応えた、そしてだった。
太子はまずは王を守る近衛軍にだ、王都を防衛する軍を掌握し。
門閥貴族や他国、それぞれの宗派に属していない将軍達や冷や飯を食わされていた官僚達、それに士官学校の学生達や若手将校達をだ。
様々な手段で配下としてだ、情報を集めるスパイ達も多く集め。
そのうえでだ、まずは国内の門閥貴族達をだった。
不正を暴きその不正を処罰して次々と権限を祝勝させ領土もだった。
そちらも全てではないがかなり奪い王家の直轄領とした、そして。
他国と縁のある者は閑職に追いやり平民出身者を抜擢していき内政を充実させて国力を増大させると共に平民達の人気も獲得し。
他国に対して有利な条件の条約を要求していった、この要求に対して。
他国は反発を覚えたがだ、太子は。
自らが掌握している精鋭、それも数を増やしたそれを国境に集めて無言の圧力としてその反発を抑えてだった。
有利な条件、しかし相手から強い反発を受けない程度のそれで条約を結んでだった。宗教のことでもだ。
国王を首長とするそれぞれの宗派を統合した宗派を立ち上げその下に統一した、そして各宗派の信仰は認めるが軍の力を背景にだった。
多くの荘園や特権、財産は接収し王家に入れた、そうしたことを僅か数年十年もしないうちに成し遂げて。
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