26部分:浜松屋奥座敷の場その三
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浜松屋奥座敷の場その三
幸兵「何と」
宗之「それはまさか」
日本「左様、これでおわかりですな」
幸兵「はい」
宗之「それでは貴方が」
日本「そうじゃ。わしがお主の本当の父なのじゃ」
赤星「頭が」
弁天「またこれはえらい話だ」
他の四人もかなり驚いている。
日本「まさか実の倅のいる家に盗みに入るとはな。何という因果じゃ。これも白浪への罰ということか」
忠信「何という話か」
南郷「むげえことだ」
日本「あの時は妻に先立たれ蓄えもなく、我が子を寺に置こうとしてそれを咎められ騒動に至ったのでござる。そこで行方をくらまし盗人になったのでござるが」
幸兵「そうだったのですか」
日本「はい。今までどうしておるか、それを案じぬ日はありませんでした」
赤星「そしてここで巡り合ったということか」
弁天「親子の縁ってのも不思議なもんだ」
日本「拙者はむごい親でござる。今こうして倅を前にしても何も言うことはできませぬ」
幸兵「御心お察し致します」
日本「かたじけない。ところでご亭主」
幸兵「はい」
日本「そのご亭主のなくされたご子息のことでござるが」
幸兵「はい」
日本「何か手懸かりはござらぬか。それがしは日本中を歩いておりまする。それなりに見聞きしたこともあります故力になれるかも知れませぬぞ」
幸兵「左様ですか」
日本「はい。宜しければ是非」
幸兵「わかり申した、ではお話致します」
日本「はい」
こうして幸兵は話をはじめる。
幸兵「その子の守りですが鴛鴦布でした。その中には観音様の御肖像に私の子であると書いておりまする」
ここで弁天はっとなって腰から御守りを取り出す。
弁天「もし」
幸兵「はい」
弁天「それはこれではござらぬか(そしてその御守りを幸兵に手渡す。彼はそれを受けて大いに驚く)」
幸兵「これは何と」
日本「ということは」
弁天「はい、わしがその倅でございましょう。この御守りはわしが子供の頃より付けていたものです」
幸兵「何と。ここで実の子に巡り合うとは」
弁天「面目ない。実の親の家に盗みに入るとは」
幸兵「いや。それにしても何故このような」
ここで南郷が出て来る。
南郷「それはわしがお話しましょう」
幸兵「貴方が」
南郷「へい。その夜弁天を拾ってきたのはわしの親父でした。漁師で初瀬の観音様を信心していやした。それでその夜も参っていたんです」
幸兵「そうだったのですか」
南郷「それでこいつを拾いやして。捨てるのも不憫ということでわしと一緒に育てて岩本の院に頼まれて寺小姓に出したんでやす。この通りの顔立ちですから」
弁天「そっから元々の性質の悪さからぐれまして。遂には弁天小僧と名乗って盗人の仲間となった次第です」
幸兵「そうであったか」
弁天「お許し下さい、全ては
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