暁 〜小説投稿サイト〜
青砥縞花紅彩画
26部分:浜松屋奥座敷の場その三
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
わしの性質の悪さ故です」
 ここで頭を下げる。だが幸兵衛は言う。
幸兵「これもさだめ、致し方なかろう」
弁天「しかし」
幸兵「商人がさだめなら盗人もさだめ、それだけじゃ。ましてや我が子、許す許さぬは関係ない」
弁天「(申し訳なさそうに)かたじけのうございます」
幸兵「駄右衛門殿」
日本「はい」
幸兵「これも何かの縁、この三千両をもって盗みを止めて下さらぬか」
日本「生憎ですが我等の手下はもう一千人あまり、もうこれを潰すこともできませぬ」
幸兵「左様ですか」
日本「それだけでなく旧悪により何時かは天の網にかかりこの首を野にさらすさだめ、最早止めることはできませぬ」
弁天「我等が裁きを受ける時は親子の誼、念仏でも唱えて下され」
幸兵「では命のあるうちは」
弁天「御会いすることもないでしょう。これが今生の別れでございます」
幸兵「折角おうたのに」
宗之「何と無情なことでありましょうか」
日本「倅よ(ここで彼は宗之助に声をかける)」
宗之「はい」
日本「わしは非道の盗人、親と思うでないぞ」
宗之「しかし」
日本「そなたの親は今まで手塩にかけて育ててくれたその幸兵衛殿じゃ。それはよく覚えておくようにな」
 宗之助は言おうとしたがそれを止めた。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ