第三章
[8]前話
「まさかな」
「ええ、子供達がね」
「そんなやり方で狼を退けるなんてな」
「思いも寄らなかったわね」
「蹄に角でか」
「狼のお腹の中で暴れるなんてね」
それこそというのです、
「そんなやり方あるんだな」
「そうね」
「いや、そんなことは」
「思わなかったから」
「けれどな」
「それで助かったから」
お父さんもお母さんも驚きを隠せないお顔です、そして。
あらためてです、子供達に言いました。
「よくやった」
「そのやり方で助かってね」
「しかも狼まで退けた」
「立派よ、皆ね」
「僕達もあのまま食べられたくなかったから」
子供達はこうお父さんとお母さんに答えました。
「それでなんだ」
「狼のお腹の中で暴れてやったんだ」
「角と蹄があるからね」
「それに丸呑みだったからね」
「丸呑みにされたからこそ」
そこでというのです。
「出来たんだ」
「あの狼は丸呑みにするのが好きだったから」
「それが仇になったのね」
お父さんとお母さんはこのこともわかりました。
「そういうことか」
「狼にとっては失態だったわね」
「ああ、けれどな」
「それで子供達が助かったのなら何よりも」
子供達の土壇場での思わぬ度胸と狼の失態に感謝するお父さんとお母さんでした。危機を脱した一家はもう狼に怯えることなく一家で何時までも仲良く幸せに暮らしました。
新説狼と七匹の子山羊 完
2015・11・23
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