暁 〜小説投稿サイト〜
青砥縞花紅彩画
25部分:浜松屋奥座敷の場その二
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日本「それは聞いておらんぞ」
赤星「私も今はじめて知りました」
日本「そうか。これは一体どういうことじゃ」
幸兵「そうでございましょう。これは私共だけの秘密でしたから」
日本「秘密とな」
幸兵「はい、私は恥ずかしながら三十路を越えるまで子がなく何とかして子宝を授かろうと初瀬寺の観世音に祈願をかけたのでございます」
日本「初瀬寺とな」
弁天「(ぎょっとして)何と」
幸兵「毎日願をかけましたところようやく一子を授かりました」
日本「してその子は」
幸兵「(悲しそうな顔をして)それが」
日本「亡くなったのか」
幸兵「なくなってはおりません。ですが」
忠信「ですが」
幸兵「その子を連れて寺参りをしたところ騒動に巻き込まれまして。そしてその間にその子を失ってしまったのでございます」
南郷「何てこった」
赤星「むごい話じゃ」
幸兵「そしてその時にすがりついてくる幼子を見つけまして。それを我が子として育てたのでごじあます」
宗之「そしてそれが拙者でございます」
忠信「そうであったのか。何ともむごい話じゃのう」
南郷「だが問題は御前さんの実の親だな(ここで宗之助に顔を向ける)」
宗之「はい。一体何処におられるのか。それが気になって仕方がありません」
幸兵「探せども見つからず。こうして月日が経つばかりでございます」
日本「お知りになりたいか」
幸兵「それはもう」
宗之「是非」
日本「(それを聞いて)わかった。では言おう」
幸兵「御存知なのですか」
宗之「それは一体」
 ここで駄右衛門は羽織を脱ぐ。そこに宗之助のものと全く同じ家紋がある。

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