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青砥縞花紅彩画
20部分:雪の下浜松屋の場その五
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忠信「貴殿等は二階堂の家の方々とお聞きしましたが」
南郷「(自信ありげに頷いて)如何にも」
忠信「その言葉、偽りはありませぬな」
南郷「これはまた失礼なことを。武士に対してその様な」
日本「いや、実は」
忠信「拙者等はその二階堂の家の者でござる」
一同「何と」
 南郷と弁天はここで急にバツの悪そうな顔になる。
日本「拙者の名は玉島逸当」
忠信「それがしは成田吉三」
日本「お主の名は」
南郷「(それでも負けずに)成駒四十八」
忠信「してそちらの姫君の御名は」
南郷「早瀬主水がご息女、音羽様でござる」
日本「(難しい顔をして)左様か」
忠信「その様な者、見たことも聞いたこともない」
 店の者はそれを聞いて大いに驚く。
日本「そしてそちらの姫とやら」
弁天「(おどおどした仕草で)私が何か」
日本「男であろう」
弁天「(驚くふりをして)何と」
弁天「私を男とは。どうしてその様な」
日本「確かに一見そう見えよう。だがその二の腕にあるもの」
弁天「腕に」
日本「左様、そこにちらりと見えた桜の彫物が何よりのあかし」
南郷「(弁天を庇い)おい、大概にせよ。これ以上姫様を侮辱すると」
日本「どうするというのじゃ?」
忠信「それでも言い張るというのならば」
日本「ここでその胸を確かめてもよいのだぞ」
南郷「(いよいよ苦しくなって)くっ」
 その後ろで弁天立ち上がる。

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