2部分:新清水の場その二
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その御子息である良村様との御縁談を進めていかなければならないというのに」
典蔵「それはそうだがな」
主膳「ましてや信田家のあれは讒言だという話もあります。それもまことだとすると」
典蔵「話は複雑になってくるのう。姫様は操の固い方であるし」
主膳「どうしたらよいでしょう。三浦様は今や日の出の勢い」
典蔵「あの方と御一緒だと何の気懸りもない」
主膳「はい、その三浦様の奥方となれば姫様も安泰です」
典蔵「ただ小太郎様だけが気になると」
主膳「左様です。小太郎様が無事だと姫様のこれからにも何かと暗いものがかかるかも知れませぬ。ただでさえ信田の家の者達が何かと動いているというのに」
典蔵「らしいな。それも聞いておる」
主膳「今のうちに手を打っておきますか」
典蔵「そうしておくか」
主膳「ではここで話すと何かと聞かれる怖れがあります。場所を変えまするか」
典蔵「うむ。そうするか」(それに賛同する)
主膳「それでは」(典蔵を右手に案内する)
典蔵「うむ」
そして二人は消える。暫くして粗末な身なりの前髪立ちの少年がやって来る。何処か中性的な女の様な感じのする美しい少年である。彼が赤星十三郎である。
赤星「もう春だというのにこの我が身の侘しさはどういうことか」
(嘆きながら言う)
赤星「花が舞い小鳥が唄う時にわしは流浪の身。主信田様も腹を切られ御家は断絶した。昨日の錦は今日のつづれ、世の習いとはいえ哀しいことだ」
(辺りを見回す)
赤星「三日見ぬ間に桜か。美しいが」
(溜息をつく)
ここでまた誰かがやって来た。深い編み笠を被った浪人である。
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