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青砥縞花紅彩画
19部分:雪の下浜松屋の場その四
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た幸兵衛が出て来る。
幸兵「御呼びでしょうか。一体何事で」
南郷「(彼を見据えて)お主がここの主か」
幸兵「はい、そうですが。何でも万引きと間違えられたとか」
南郷「そうじゃ。この落とし前どうつけるつもりじゃ」
幸兵「それですがこちらの不始末なのは承知、重ね重ねご容赦の程を(そう言って頭を下げる)」
南郷「それで済むと思うてか。見やれ」
 ここで弁天を助け起こす。何と額には傷がある。一同それを見てあっと驚く。
一同「何と」
南郷「これは一体どうしてくれるのじゃ。もうすぐ嫁がれるというのにこの傷。消えはせぬぞ」
一同「しかし」
南郷「言い訳はよい。こうなっては是非もなし。貴様等全員その首刎ねて拙者も切腹致す」
弁天「(憤る南郷を止めて)これ四十八。その様な無体なことは」
南郷「お嬢様、そうは言われましても」
弁天「この程度の傷、大したことはない。白粉で隠せる故な」
南郷「しかしそれがしが殿に申し訳が立ちませぬ」
弁天「父上には私から申しておく」
南郷「しかし」
弁天「ここは抑えて。私からも頼む」
 弁天に言われ南郷もようやく落ち着きを取り戻したふりをする。見れば店の者は幸兵衛以下全員土下座をしている。

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