第10話
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嬢も朝ティオすけにその”ハッキング”ってやつをすればいいとか言っていたが……なんなんだそりゃ?」
「私も詳しくは知らないけど……たしか、端末を守っているセキュリティを解除することで不正に操作する技術だったかしら?」
ティオの言葉を聞いて首を傾げているロイドとランディに説明したエリィはティオに確認した。
「おおむね合っています。導力ネットワークで繋がっている端末同士であれば原理的にはどこからでも可能です。もっとも高度な知識と技術を持っている必要がありますが………」
「ちなみに、それを行う者を”ハッカー”と言うらしい。導力ネットは、大陸全土でもまだ限られた地域で試験的にしか運用されていないんだが………早くもそういう事例が報告されているらしいね。」
「なるほど………」
「ってことは………”銀”ってのは刺客だけじゃなく”ハッカー”でもあるってことか?」
「そこまでは断定できないけど………例のメールが、このビルの外部から送られた可能性はあるみたいね。」
「ふむ、信頼するスタッフを疑わずに済むのはいいんだが………メイン端末がハッキングされたというのもそれはそれで由々しき問題だ。………よし、こうしよう。君達が端末室に入れるよう手配しようじゃないか。」
「え………」
「い、いいんですか?」
自分達の会話を聞いて考え込んだ後提案したディーター総裁の提案を聞いたロイドは驚き、エリィは戸惑った様子で尋ねた。
「ああ、メイン端末を調べればハッキングの痕跡などが残っているかもしれないし…………スタッフも詰めているから話を聞くこともできるだろう。」
「………助かります。」
「おじさま………どうもありがとうございます。」
「いや、こちらにとっても見過ごせない問題だからね。ふふ―――しかしエリィ。なかなか充実した日々を過ごしているようじゃないか?」
「え………」
唐突に自分の話をディーター総裁にふられたエリィは呆けた。
「最初、君が警察に入ったと聞いて少々疑問に思ったものだが………なるほど確かに良い経験が出来そうな職場だ。私も改めて、応援させてもらうよ。」
「おじさま………そう言って頂けるととても助かります。」
「ふふ、それに君達も………雑誌で読んだ以上に可能性を感じさせてくれるね。」
「え………」
そしてディーター総裁の言葉にロイドが呆けたその時、ディーター総裁は席を立って、ロイド達に背を向けてガラス張りの窓に近づいた。
「……気づいているだろうがこのクロスベルという自治州は非常に難しい場所だ。おそらくエリィなどはそれを痛感していると思うが………一番、問題だと思われるのは”正義”というものが完全に形骸化してしまっていることだ。」
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