第二章
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「もう一つあります」
「もう一つとは?」
「もう一つのカンガがありまして」
「カンガにもう一つですか」
「はい、あります」
そうだというのだ。
「これが」
「と、いいますと」
「人のカンガでして」
「人!?」
「ああ、まだご存知ないですか」
「ここでは有名なことなのですか」
フリードリヒはジープの中で首を傾げさせた、上手に運転しているワンガリのその横の助手席においてである。
「そうなのですか」
「そうです、ケニアでもタンザニアでも。もっと言えば」
「と、いいますと」
「スワヒリ人の間では」
その彼等の中ではというのだ。
「知られていることですが」
「というか文化ですか」
学者としてだ、フリードリヒはワンガリに問うた。
「それは」
「はい、そうです」
「では宜しければ」
身体ではそうしていないが言葉では身を乗り出してだ、フリードリヒはワンガリに対して無意識のうちに尋ねた。
「教えて頂けますか」
「ではここからすぐの村に行きますか」
「スワヒリ人の」
「はい、そこに行きますか」
「それでは」
こうしてだった、二人はジープでその村に向かうことになった、その途中フリードリヒはワンガリにこんなことを言った。
「ここの自然は豊かですね」
「ケニアの、ですね」
「はい、まだ見つかっていない生物がいるそうですし」
「そうみたいですね」
ワンガリもこう答えた。
「アフリカ全体がそうですね」
「まだまだ発見されていない生物もいますね」
「中には発見されて絶滅した生物もいますね」
「ですね」
この話になるとだ、二人は暗い悲しい顔になった。
「残念ながら」
「はい、クァッガもそうですね」
身体の後ろ半分が茶色のシマウマだ、十九世紀に絶滅した。
「貴重な生きものでしたが」
「クァッガもそうで」
「他の生きものもいますね」
「そうですね」
二人で晴れない顔になっていたがだ。
ワンガリは話を変える中でだ、フリードリヒにこうも話した。
「ただ、さっきお話した通りです」
「まだ発見されていない生きものもいますね」
「はい」
このアフリカにはというのだ。
「中には恐竜の話もありますし」
「恐竜ですね」
「まだ地球にいると思いますか?」
ワンガリは運転しているので顔は正面を向いている、だが視線は助手席のフリードリヒに向けて尋ねた。
「貴方は」
「いると思います」
フリードリヒは自分の考えを正直に答えた。
「私は」
「そうですか」
「このアフリカにも結構ありますね」
「はい、モケーレ=ムベムベもチペクエも」
「あと翼竜の話もありますね」
「多いですね」
先の二つは密林の奥にいるというそれぞれ雷竜の一種だのトリケラトプスだのゴロザウ
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