妖精vs.冥府
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・」
「右だって」
「了解」
一瞬前を向いてどの分かれ道かすぐさま判断し、掠れるような声で指示する。それをミラが通訳し、エルザが鹿の進路を操作する。
「ねぇ、エルザ。一回休まない?」
「なんでだ?」
シリルの後ろに座っているミラがエルザにそんな提案をする。急いでいるのは彼女もわかっているはずなのに、そんな提案をしてくるのには何か理由があると悟ったエルザは、前を向いたまま彼女に問う。
「シリルが落ちそうなの」
「え?」
エルザにしがみつき、なおかつ後ろからミラに抱き締められているシリル。しかし、鹿の上はやはり不安定なようで、揺れる彼を落とさないようにするのはなかなか難しい。そのため、一度シリルの回復を待とうと考え、そんな提案をしていたのだった。
「・・・わかった」
少し悩んだ末、川が流れている場所に鹿を停車させる。
「わ〜い!!水だぁ!!」
鹿が止まった途端、真っ青になっていたシリルが元気になり、川に向かって走っていく。彼の後に鹿から降りた女性二人は、片方はため息をつき、もう片方は頬に手を当て笑っている。
「ウェンディも連れてくるべきだったな」
「そうね、失敗しちゃったかな?」
乗り物酔いに効く魔法を使えるウェンディ。彼女は現在ナツとルーシィと行動を共にしているのだが、彼女たちが向かった住所ははっきりとしているので、道案内が必要なこちらのルートに連れてくるべきだったと話し合っていた。
「ん?」
すると、エルザが何かに気付き、鞄から巨大な半透明の球体を取り出す。それは、仲間と連絡を取り合うための通信用魔水晶であった。
「どうしたの?」
「連絡が来ているようだ」
地面に通信用魔水晶を置く。すると、そこに映ったのは自分たちと同じように元評議院の元へと向かったグレイとジュビアがいた。
『どうじゃった?』
『ダメだ。こっちは手遅れだった』
どうやらギルドに残っているマスターたちへの連絡だったらしく、彼らのか会話が聞こえてくる。この魔水晶は全員と連絡が取れるようになっており、互いの状況を確認するのに役立つのである。
『なんじゃと!?フォッグ老師が!?』
『えぇ。もう・・・』
グレイとジュビアが向かった元評議院は、すでに冥府の門にやられていたらしい。
『街中で暴れまわるものがいたらしくて・・・』
『目も当てられねぇ状況だよ』
彼らが他のメンバーに見えるように街を映すと、そこはたくさんの傷跡が残され、人が住むことすら困難になっている。
『なんということじゃ・・・』
『ガジルたちは?』
『ベルノ老師の様子はどう?』
続いてガジルとシャドウギアの面々に問いかける。
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