第一幕その十
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「リンキティンク王ですけれど」
「王様がどうかしたのかい?」
「お元気ですか?」
「元気も元気だよ」
笑って言うおじさんでした、リンキティンク王のことも。
「元気過ぎてね」
「それで、ですか」
「もう少し静かだったらって思う位だよ」
「そうなんですね」
「あんた達はうちの王様に会ったことはあるかい?」
「いえ、それがなんです」
カルロスは正直に答えました。
「あの人にお会いしたことはないです」
「そうなんだね」
「ただよく聞いてます」
「うちの王様のオズの国の有名人の一人だからね」
「はい、それでなんです」
「困った位に朗らかでね」
笑って言うおじさんでした。
「それで騒がしい位に笑ってるよ」
「やっぱりそうなんですね」
「ああ、相変わらずだよ」
本当に、という声でした。
「いいのか悪いのかっていうといいけれど」
「騒がしい」
「そうだよ」
「そうですか」
「今この国にいるよ」
「何処にも行かれずにですね」
「ご自身の王宮で今日も笑っておられるさ」
それがリンキティンク王だというのです。
「じゃあ今から行くかい?」
「そうですね」
ここで、です。カルロスは。
皆に顔を向けてです、そのうえで尋ねました。
「そうする?」
「そうね、やっぱりな」
「あの方のお国だし」
「あの方にお会いして」
「挨拶はしておかないと」
「やっぱりそうだよね」
カルロスは皆の言葉に頷いてです、そして。
おじさんに顔を戻してです、こう言いました。
「そうします」
「僕もだよ」
ボタンもおじさんに答えました。
「そうするよ」
「よし、じゃあ王宮まで行くんだな」
「リンキティンク王が王宮にいるのならね」
「王宮までの場所はわかるかい?」
「わかんなーーい」
「じゃあ地図をやるよ」
ボタンの問いに笑って返したおじさんでした。
「今からそっちに降りるから待ってくれよ、地図を持って来るな」
「そこを離れてもいいの?」
「灯台の傍にいればいいからな」
おじさんの灯台守としてのお仕事はというのです。
「だからな」
「いいんだね」
「ああ、じゃあ今から行くな」
「それじゃあね」
こうしてです、おじさんはです。
すぐに皆のとことに来てくれました、その手に地図を持って。
それはリンキティンク王の国の細かい地図でした、しかもです。
「カドリング全体の地図もですね」
「ついでだからな」
おじさんはカルロスに笑って応えました。
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